1989年6月4日。北京・天安門広場で、人民解放軍によって多数の市民が虐殺された、「天安門事件」が起きた日だ。

この事件からまもなく27年が経つ中、中国の民主活動家・方政(ほう・せい)氏が、幸福実現党の釈量子党首と対談を行った。対談の様子は、保守系月刊誌「WiLL」7月号に掲載された。

猛スピードで追いかけてきた戦車にひかれた

方政氏は事件当時、政府に言論の自由や結社の自由などを求め、デモ隊の一員として活動した結果、中国の人民解放軍の戦車に両足を踏みつぶされた過去を持つ。

方政氏によると、天安門広場から撤退してきた学生は、猛スピードで追いかけてきた戦車にひかれ、知っている範囲だけでも、11人が死亡し、5人が障害者となったという。

嘘の証言と情報統制で圧力を強める中国政府

事件後も、中国政府は言論弾圧を強める。

助かった人の中には、嘘の証言を強いられる人もおり、方政氏の名前や「天安門事件」は、インターネットの検閲によって、検索できないという。こうした中国政府の圧力に負けず、方政氏らは中国の民主化に向けて活動し続けている。

こうした民主運動家の一人として、釈党首は劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏を挙げている。

劉氏は、天安門事件の殉難者の名誉回復と民主化を訴え、「反革命罪」で中国政府によって投獄された経験を持つ人物。2010年には、ノーベル平和賞を受賞している。ただその後、本心ではない反省文を書いて釈放された。

釈党首は、劉氏が釈放後、亡くなった人の魂から見られていると感じ、良心の呵責に苦しんだことに言及。劉氏がよりいっそう民主化運動に励むようになったことに触れつつ、民主活動家をかけがえのない存在と語っている。

天安門事件こそユネスコ記憶遺産に

話題は、昨年10月に決まった、中国による南京事件のユネスコ記憶遺産登録にも広がった。

釈党首は、南京資料の登録の一方で、中国政府が天安門事件をなかったことにしようとしていることに言及。方政氏は、天安門事件をユネスコ記憶遺産に登録するため、昨年12月頃から史料を収集し、準備を始めていると語っている。2019年までに百万人の署名を集め、20年の登録を目指すという。

これまでに「ない」とされてきた史料が集まれば、天安門事件の全容が世界へ明らかになっていきそうだ。

最後に釈党首は、日本で天安門事件記念館建設のような声が上がるなら、歴史の真実を海外に伝えるためにも支援したい、と民主活動家らと歴史戦を共に戦う決意を述べている。

その他、障害者運動会の中国代表に選ばれたが、中国政府によって参加を取り消された方政氏の体験や、日本の教科書における天安門事件の扱われ方など話題は多岐に及んだ。

天安門事件では、数万人もの人々が中国軍によって虐殺されたとも言われている。それにもかかわらず中国は天安門事件について沈黙し続けており、国内では日に日に言論統制を強めるばかりだ。中国の民主化を成し遂げるためにも、日本は民主活動家らと協力し、世界に向けて歴史の真実を訴え続けていく必要がある。

(冨野勝寛)

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