日本初の月面着陸機打ち上げへ 新たなフロンティア・宇宙を目指せ

2015.04.20

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が3年後、日本初の無人の月面着陸機「SLIM(スリム)」を打ち上げる方針を固めたことを、19日付産経新聞が伝えた。これまでに無人探査機による月面着陸に成功しているのは、旧ソ連、アメリカ、中国の3カ国のみ。日本は世界の注目を浴びた小惑星探査機「はやぶさ」などで蓄積した技術を、月面探査につなげる。

記事によると、SLIMは、小型ロケット「イプシロン」5号機で、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げる計画。打ち上げ費用を含め、開発費は100億~150億円と見込まれている。

今までの探査機の着陸には、目標点に対して1~数kmの誤差があった。SLIMでは、デジタルカメラの顔認識技術を応用するなどして誤差を100mにまで縮め、目的地にピンポイントで着陸する技術の獲得を目指しているという。

SLIMが成功すれば、2030年以降にアメリカが目指す有人火星探査で、日本が重要な役割を果たすことにもつながるだろう。

そもそも、日本の高い技術レベルから見て、日本がいまだに有人宇宙船を打ち上げていないことには違和感がある。本来、日本が主導して有人火星探査に乗り出してもおかしくないはずだ。

日本は戦後、軍事転用できる航空部門や宇宙部門をアメリカに押さえられたため、宇宙開発が遅れた。一方、現在に至っても宇宙開発への投資が進んでおらず、国家としての努力が足りなかったことも事実。今のところ、宇宙産業は単年度では経済効果を生まないかもしれないが、将来的には、新たな基幹産業として国を発展させていくものになる可能性が高い。

例えば、太陽系の中の他の星に、地球では手に入らない未知の資源が眠っている可能性がある。探査機の開発が進めば、やがて各国で資源の争奪戦が始まるだろう。宇宙開発が遅れれば、そのようなチャンスを逃してしまう。

現在、日本の宇宙開発の予算は約3000億円だ。政府が強い意志で取り組まなければ、費用が多額である一方、短期的な経済効果の薄い宇宙開発は、すぐ予算が削られてしまう。

日本国民には約1650兆円の個人金融資産がある。日本政府は、宇宙開発について30年ほどのスパンで計画を立て、国債や未来事業債のかたちで、民間や外国の資金を集めるべきだ。30年間で合計100兆円程度を投下できれば、大きな経済成長が起き、GDPも3倍程度に跳ね上がる可能性がある。

失業問題や国の財政赤字問題を解決する道筋としても、新たな基幹産業としての宇宙産業には、長期的な投資が必要だろう。(泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ザ・ネクスト・フロンティア』 大川隆法著

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2014年6月16日付本欄 火星旅行の時代へ NASAが火星に人を送る装置を研究開発

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