2020年代自由と繁栄の東アジアを創れ─編集長コラム
2012.01.25
2012年3月号記事
特集 2012 北朝鮮を崩壊させよ
2020年代自由と繁栄の東アジアを創れ
30年間続いたエジプトのムバラク政権の崩壊、「アラブの狂犬」リビアのカダフィ大佐の殺害、「金王朝」二代目の金正日総書記の突然の死。何か目に見えない大きな意志が働いているかのようだ。
まだどの国も結末は見えていないが、 自分たちの国や社会の運命は自分たちの自由な意志で決めるという「自由の革命」が世界各地で起きようとしている。
中国は史上最悪の「収容所大国」
「大いなる意志」が次に働きかけるとしたら、北朝鮮であり、中国だろう。
北朝鮮では、人生を奪われた数千人規模の拉致被害者がおり、数十万の人が強制収容所に入れられ、勝手に海外渡航(脱北)するだけで重罪となる。
中国にも強制収容所(労働改造所)があり、公の場で共産党を批判したら、ほぼ確実に投獄される。ノーベル平和賞を受賞した劉曉波氏も、世界的に著名な芸術家の艾未未もそうだ。人知れず連れ去られ、収容所で拷問にあって亡くなる政治活動家や宗教関係者は数え切れない。チベット仏教僧は次から次へと焼身自殺し、信教の自由を認めない共産党政府に抗議を続けている。
旧ソ連の強制収容所で亡くなった人は4千万人以上とされるが、中国はそれをはるかに上回る史上最悪の「収容所大国」だという現実がある。
2020年には中国の軍事費はアメリカの国防費を確実に上回る。朝鮮半島への中国の支配力は一層強まり、それは日本にも及んでくることだろう。
朝鮮統一から中国崩壊へ
「北朝鮮への包囲網を敷き、金正恩体制を崩壊させる」と日米韓はじめ国際社会が決断したならば、まったく違った未来が開ける。
シミュレーションで見たように、北朝鮮の体制崩壊そのものは、あっけなく終わる可能性がある。
問題は、それを引き金にして中国で何が起こるかだ。
南北朝鮮の統一が現実になってくると、中国東北部の朝鮮族が統一国家に加わろうと大量移住が始まる。あるいは、中国国内で自由と民主主義を求めて蜂起する。共産党政権は弾圧を加えることになるが、新疆ウイグルやチベット、内モンゴルの独立運動にまで飛び火し、「中華帝国」の崩壊までつながり得る。
それは、清朝崩壊の辛亥革命後(1911年)から共産中国建国(1949年)前までの軍閥割拠の時代への回帰だ。ただ、長い目で見れば、中国大陸全体が台湾のような自由と民主主義の国に変わることになるだろう。
東アジアの「交通革命」
そこまでくれば、東アジアは一変する。東シナ海や黄海、日本海が、日本の瀬戸内海のような「内海」になって大型フェリーが頻繁に行き来する。今でも福岡~釜山を高速フェリーが3時間弱で結ぶが、それが日本の各都市と、上海や天津、青島など中国の港とも始まるだろう。
共産中国ができる前までは真剣に議論されていたが、九州と朝鮮半島を海底トンネルで結び、日本~半島~中国を貫く鉄道網を敷くこともいずれ現実になる。リニア新幹線なら、東京~北京間は5時間余り。空港までの移動時間などを考えれば、空の便とそう変わらない。
こうした「交通革命」が起こり、人・モノ・金・情報が自由に移動できるようになったとき、東アジアが歴史上、最高度に繁栄し、世界経済を引っ張る地域となることだろう。
あえて問題提起
抑圧と恐怖が広がる東アジアをこのまま維持していくのか、それとも、2020年代に向けて、自由と繁栄の東アジアを創り出そうと決意するか――。今、私たちは歴史の大きな転換点に立っている。
後者を選べば、大量の難民の発生、核兵器の流出、全面戦争の可能性、半島や大陸の産業へのダメージといったリスクが伴う。
貧困と圧政に苦しむ北朝鮮国民や、信教・言論の自由が認められない中国国民が、自分たちの運命は自分たちで決められるようになるために、一定の程度の代償はやむを得ないだろう。
それが、今回あえて「北朝鮮の現体制を崩壊させよ」と問題提起した理由だ。
(綾織次郎)
・「北朝鮮 ─終わりの始まり─ 霊的真実の衝撃」…………(本誌 p.28)
・国際社会は北朝鮮国民の苦しみを放置してはならない……(本誌 p.30)
・半島有事シミュレーション <最悪パターン>……………(本誌 p.32)
・半島有事シミュレーション <最良パターン>……………(本誌 p.34)
・インタビュー 拓殖大学客員教授 潮匡人
2020年代 自由と繁栄の東アジアを創れ ………………(本誌 p.38)
■ 2020年代自由と繁栄の東アジアを創れ─編集長コラム ……………(本誌 p.38)
■ ニュースそもそも解説 - 北朝鮮問題を読み解くための基礎知識 ……………(本誌 p.40)
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