ベネズエラと中国が陥った「泥沼の共依存関係」【チャイナリスクの死角】
2026.06.12
国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
ベネズエラという国家の混迷を語る際、中国による「経済的侵略」という言葉がしばしば持ち出される。かつて南米屈指の富を誇ったこの国が、なぜ天文学的なインフレと人道危機に喘ぎ、その背後に中国の影が色濃く漂っているのか。その実態は、単なる一方的な収奪というよりも、資源を媒介とした共依存の果てに生じた「底なしの泥沼」と呼ぶべきものである。
ベネズエラ経済を蝕んだ中国との「石油融資」制度
この関係の起点は、2000年代初頭のチャベス政権時代に遡る。反米左派を掲げるチャベス大統領にとって、エネルギー資源の安定確保を狙う中国は理想的なパートナーであった。
両国が構築したのは「石油融資(Oil-for-loan)」という仕組みである。これは、中国がインフラ整備や社会開発のために巨額の融資を行い、ベネズエラはその返済を現物、つまり石油の現物支給で行うという契約であった。一見すると互恵的なこのシステムが、結果としてベネズエラの首を絞めることになった。
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