中国若者の46%の高失業と、大学生20万人の“自転車集団"の関係【澁谷司──中国包囲網の現在地】
2024.11.25
アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
中国の若者の高失業率は4年前から続いており、現在、なんと46.5%にのぼる。つまり、約2200万人の若者が職に就いていない。これは中国共産党に対する国民の不満を噴火させる火薬庫になりかねない(*1)。
今年8月の都市部における16歳から24歳の若者の失業率(就学生を除く)は18.8%と今年最高を記録し、9月は17.6%と今年2番目の高さだった。
貿易戦争、ゼロコロナ政策、国進民退が直撃
中国の調査会社『智聯リクルートメント』が今年7月に発表した「2024年大学生就職力調査報告書」によると、非正式雇用通知(すぐに正式採用されるかどうかわからない仮採用)を受け取った新卒者は48%である。
新卒者のいわゆる「スロー就職」(慌てずにゆっくり就職)と「フリーター」の割合も、今年の新卒で19.1%、13.7%と高い。
米国のエコノミストであるデビッド・ホアン氏によれば、まず、若者の失業率が高いのは、この10年、中国では「国進民退」が続き、民間の雇用がますます縮小しているからだという。
次に、2018年来、「米中貿易戦争」と「ゼロコロナ政策」により、外国企業の対外移転が大量に起こり、多くの雇用が海外に流出している。
そして、習近平政権の「一帯一路」構想で、外国企業に多額の補助金を出すなど、政治目的のために国内経済を軽視する傾向があり、社会リソースの不公平な分配が失業率の上昇につながっている。
特に習政権が推進する、いわゆる「新たな質の生産力」の開発が、国内雇用へのしわ寄せを生んでいるのではないかとデビッド・ホアン氏は考えている。
今まで、中国の伝統的な比較優位製品とは、繊維、家具、家電だった。だが労働コストも徐々に上がり、それでも世界で競争する場合、輸出のため補助金が増加するだけである。そこで、北京はグローバル産業で絶対的な競争優位性を持つ「新しい高品質の生産力」を開発し、雇用を確保したいのではないだろうか。
(*1)2024年10月26日付『中国瞭望』
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