未来産業のたまご 第10回 - 未来都市をつくる日本の耐震技術
2016.11.29
大林組技術研究所本館の土台に設置されている、免震設備の「ラピュタ2D」と開発を担当した主任研究員の吉田治氏。
2017年1月号記事
未来産業のたまご
第10回
未来都市をつくる日本の耐震技術
大林組 技術研究所
高層ビルが並ぶ未来都市には憧れるが、地震が心配。 そんな不安にしっかり応える耐震技術が、日本にはある。
以下は、大林組が施工し、耐震技術を導入している、代表的な建造物。
(1)東京スカイツリー。建設中に東日本大震災が起きたが、対策のため被害はなかった。
(2)品川インターシティA棟。総ガラス張りで、オフィスなどが入居する。高さ約144.5メートル。
(3)東京都清瀬市の大林組技術研究所本館。柱の強度を高めることで、柱の少ない広い空間を実現している。
地上数百メートルの超高層ビルの中に、自宅もオフィスもあり、学校やスーパー、病院もある─。都市の再開発によって建物が高層化すれば、都市部でも広い家と近い職場が実現し、通勤ラッシュも解消できる。新しい生活スタイルやビジネスのあり方を創り出すことも、未来産業の一つだろう。
その際、地震国である日本に不可欠なのが地震対策の技術だ。
日本の高層ビルの多くには耐震技術が施されている。阪神・淡路大震災や東日本大震災で新しい高層ビルが倒壊を免れたことで、日本の耐震技術は世界の注目を集めている。
現在、日本で最も高い建築物である東京スカイツリー(634メートル)を施工したのがゼネコン大手の大林組だ。他にも、高さ255メートルの虎ノ門ヒルズをはじめ、多数の高層建築物を施工してきた。東京都清瀬市にある同社の技術研究所では、地震対策を含む様々な研究が行われている。
「地震があるたびに被害が出て、今までは分からなかったところや、想定と違うところが見つかります。地震を扱う以上、最後は自然が相手なので、全部分かるということはありません。経験から学び続ける謙虚さが不可欠と考えています」
同研究所の構造技術研究部主任研究員である吉田治氏は、地震対策の研究を行う上で大切なことについて、こう語った。
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