2012年8月号記事

政治家の守護霊インタビューの意味

橋下徹大阪市長は、一流タレントも顔負けの当意即妙の語り口と、「敵」を設定して感情むき出しで攻撃する特異なディベート術でメディアの注目を集める。国民は良くも悪くも、将来の首相候補として意識せざるを得なくなった。

ただ、 橋下氏率いる「大阪維新の会」の国政進出について、本人の発言は微妙に揺れている。 6月8日には「(大阪都構想法案が成立すれば)そんなに積極的に考える必要はないんじゃないか」と述べ、自身の出馬についても「僕は国会議員には向かない」と完全否定した。

守護霊の言葉は時間を経て現実化する

「天下獲り」の意欲がトーンダウンしたのは、橋下氏の潜在意識を検証した一冊の本が影響したとされる。 橋下氏の守護霊にインタビュー した大川隆法著『 橋下徹は宰相の器か 』がそれで、6月初めに全国の書店に並んだ。橋下氏守護霊が語る「本心」はこんな感じだ。

「『国政に出て、総理・総裁を目指す』っていうことは、やっぱり、『復讐するは我にあり』なんだよ」

「信じられるものは現実的なものだけだよ」「具体的な権力とか、具体的なお金とかね」

大川隆法・幸福の科学総裁による世の指導者たちの守護霊インタビューはこれまで、数多く行われている。例えば、 野田佳彦首相の守護霊 は就任前の昨年8月、「(消費税増税予定の)2015年には、俺、総理をしてねえからさあ」「関係ねえんだよ」と語った。今、その言葉に忠実に行動している。守護霊の言葉は、時間を経て現実化していくというわけだ。

「宗教家は鏡のようなもの」

大川総裁は同書のあとがきで、こう述べた。

「私共、宗教家は、鏡のようなものなので、そこに映った等身大の自分を見つめることで、新しい気づきがあることを信じたい」

宗教家は、澄んだ湖面のように波立たない、静かで穏やかな心を求め、反省や瞑想などの修行をしている。そうした鏡のような平らかな心に、自分と他人の思いや言動、世の出来事を映し、善悪を判断する。

地位や財産、家柄や学歴は関係ない。心に映るその人がどんな人生観、世界観を持ち、何を実現しようとしているのかを見極める。これは仏道修行の一つである「正見」だ。

大川総裁は同じくあとがきで、正見の立場から橋下氏の人生観についてこう指摘した。

「『自分より賢い人が世の中にいるわけがない』と幻惑することに執心しているかのようだ。根底には人間不信と世の中への反抗心が隠れているのだろう」

橋下氏は複雑な家庭環境に生まれ、母子家庭になってからは経済的にも苦労して育ち、転校続きの学校生活ではいじめや暴力にも耐えてきたという。他の家庭との差異を思い知らされつつも、それを強烈なハングリー精神に転化し、大阪随一の公立進学校、そして早大へと進み、司法試験に合格。たった1年で弁護士として独立し、人気タレントとしても成功をつかみ取った。橋下氏には、努力一本ではい上がってきたという強いこだわりがある。

その立場からすると、身分保障され、権利ばかり主張する類の公務員や教職員を「敵」として攻撃し“復讐"するのは自然かもしれない。

不遇な環境でいつの間にか心の底に沈殿した人間不信や反抗心を解くことができるか――。橋下氏は今の自身の人気を「賞味期限がある」と冷静に分析しているが、それが賞味期限を延ばし、さらに大きな仕事をするためのカギとなることだろう。

政治家の守護霊霊言は国師としての政治指南

鎌倉・室町時代にまたがって国師と仰がれた夢窓疎石。現代では、大川隆法・幸福の科学総裁が説法や政治家の守護霊インタビューで、国師の役割を果たしている。

現代では宗教と政治を切り離す考え方が強いが、 悟りの高い宗教家が政治家に対して、あるべき政道を説くのが本来の姿 だ。釈尊は国師として国王たちに政治指南を度々求められたし、日本では7代の天皇や武家に国師と仰がれた禅僧・夢窓疎石がよく知られる。

足利尊氏の弟・直義の92の質問に答えた『夢中問答集』には、「出世欲を抑えるにはどうしたらいいか」という問いに、夢窓疎石が「小欲ではなく大欲を持て」と一喝した場面が記録されている。国師が同時代に存在することは、政治家が自らを正すことができる、ありがたい時代であることを意味する。

大川総裁による世のリーダーたちの守護霊霊言は、国師としての政治指南 であり、 過てる政治を見るに見かねて国師が創った宗教政党・幸福実現党は、現代の政治家たちへの一喝 だ。

宗教政治家がその鏡のような心で善悪を判断し、あるべき政道を実現する時代を到来させなければならない。

(綾織次郎)