《ニュース》

イギリスの国民保健サービス・イングランド(NHSE)が、トランスジェンダーの人々について「自認する性別ではなく生物学的性別に基づいた病棟または病室で治療を受けるべき」であるとする新たなガイドラインを発表しました。

《詳細》

これまでのガイドラインでは、患者と病院職員は性自認に基づいて施設の利用ができるものとなっており、生物学的男性のトランスジェンダー女性が女性用病棟を、生物学的女性のトランスジェンダー男性が男性用病棟をそれぞれ選択することができました。その根拠になっていたのが、性的指向や性転換を含め、障害や性別による差別を禁止する「2010年制定の平等法」でした。

しかし現実には、「女性用の空間を生物学的男性が利用する」ことになり、女性が安全に過ごす権利が侵害されるという問題が起こりました。2025年4月にはイギリスの最高裁判所が、「2010年制定の平等法における『性別』や『女性』という用語は、生物学的性別で定義される」との判断を示し、生物学的性別に基づいて男女別の空間を提供することが、差別に当たらないという見解を示しています。

この判断に基づいて制定されたNHSEの新たなガイドラインでは、性自認が異なっていても、生物学的に反対の性別の人が男性用・女性用の空間を利用しないようにしなければならないとし、「病院の病棟など、男女別のサービスは、生物学的性別に基づいて提供されるべきである」と明記され、「トランスジェンダーの人々は、出生時の性別に基づいて病棟を提供されるべきである」か、個室を提供されるべきであると明記されました。

26年1月には、イングランド北部の病院でトランスジェンダー女性の同僚が女性更衣室を使うことに苦情を申し立てた女性の看護師グループに対し、意義を唱えるなら別の場所で着替えるよう言ったことで、病院を運営する郡のNHSトラストが看護師たちを間接的に差別した、と裁判所が認定しています。

裁判を戦った原告の看護師グループの一人は、「今問われているのは、NHSの各機関が実際に新たなガイドラインに従うかどうかです。あまりに多くの医療機関がイデオロギーに囚われていて、雇用主が最初から守るべきだった権利や保護を、最前線で働く女性たちが自ら守らなければならない状況に陥っているのです」と話しています(15日付英テレグラフ紙)。

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