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米紙ワシントン・ポスト電子版が4日、ウクライナが今年6月から開始した反攻作戦について、「戦線が膠着し、全体として失敗している」と、特集記事で報じました。

《詳細》

今回の特集は、ウクライナ、アメリカ、ヨーロッパ諸国の高官30人以上へのインタビューに基づき、「作戦計画の考察」と「どのように作戦が展開されたか」の二部構成で詳細に報じています。

まず、反攻作戦の計画を立てるにあたり、ウクライナ、アメリカ、イギリスの軍将校らは、8回にわたって机上での軍事シミュレーションを行いましたが、その時すでに、ウクライナ軍が人員・弾薬において「深刻な制約に直面する」という想定に基づいていたといいます。

また、ウクライナとアメリカの当局者は、戦略・戦術・タイミング等をめぐって激しく対立していました。

例えば、アメリカ側は「南部ザポリージャ州に戦力を集中させ、戦略都市メリトポリに南下してアゾフ海に到達し、ロシアの補給路を断つべき」と主張しました。しかし、ウクライナ側はそれに加えて、ロシア軍の戦力を分散させる目的で、メリトポリ東方のベルジャンスク、東部ドネツク州バフムートへの進軍も訴えたといいます。結果、三方面での作戦を展開することになりました。

アメリカ側は今回の作戦が「血みどろの戦い」になることに異論はなく、2023年初頭までに、13万人以上のウクライナ兵が死傷したことを知っていたといいます。一部のウクライナ軍司令官は、戦争経験のない兵士の数を理由に、作戦に疑問を呈したというのです。

さらに、作戦の実状を詳述した第二部の記事では、作戦の初日から「何も計画通りに進まなかった」と、冒頭で記しています。当初の計画では「初日に9マイル(約14キロメートル)突破する」とされていましたが、結果的には、6カ月間で12マイルの前進にとどまっています。また、作戦の「突破部隊」として選ばれた第47旅団は、およそ70%の兵士が戦闘経験がなく、司令部でさえ、指揮官が28歳という若さだったといいます。

結果、2023年だけで、何千人もの死傷者を出し、数十億ドルもの西側の軍事援助を要したにもかかわらず、ウクライナ側が奪還した領土はわずか200平方マイルだったと結論づけています。

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