《ニュース》

バイデン政権がウクライナへの支援を強調する一方、米国内では、中露の協調が強まっていることに対し、懸念の声が高まっています。

独シュピーゲル誌は23日(現地時間)、同誌が入手した情報に基づき、ロシアが中国企業と軍事用攻撃ドローン100機の購入を交渉中だとし、早ければ4月にも納入されると報じました(インターナショナル版)。

《詳細》

本欄「『中国がロシアに殺傷力のある武器提供を検討』と米国務長官が懸念 水面下で、ウクライナで戦うロシアを支援している」でも触れたように、中国が水面下でドローンや衛星情報を提供し、ロシアを支援していることが報じられています。

シュピーゲル誌は、ブリンケン米国務長官がインタビューなどで語った「中国が殺傷力のある支援の提供を検討している」ことをめぐり、中露間の協力計画はさらに進んでいると指摘。ロシアが中国の軍事ドローンメーカー・西安冰果智能航空科技(Xian Bingo Intelligent Aviation Technology)と、軍事ドローン(無人機)100機の購入について交渉中だと報じました。

同社は、35~50キロの弾頭を搭載できる無人機「ZT-180」のプロトタイプ100機を製造する用意があるとのこと。さらにシュピーゲル誌によれば、西安冰果社はノウハウなどの提供を通して、ロシアが月あたり最大100機の無人機を自国で製造できるよう、支援する計画だといいます。

シュピーゲル誌の報道を受け、米国内では、中露合体を招いたバイデン外交の愚を指摘する声がますます高まっています。

決済代行サービスPayPal(ペイパル)の共同創設者などを務めた起業家のデイビッド・サックス氏は、冷戦中には中露を分離させるための外交努力があったとした上で、次のように語っています(24日付ツイート)。

「今では我々は、バイデン氏による『専制国家への戦争』の結果として、両国の接近を後押ししている。これは危険であり、馬鹿げている」

バイデン氏が、「民主主義国家 対 専制国家」という構図を掲げた結果として、みすみす中露合体を招いたという指摘です。

サックス氏の論を受け、トランプ前政権で国防次官補代理を務めたエルブリッジ・コルビー氏は、「的確な意見だ。ロシアと中国の強い連携は、非常に悪い結果だ」と同意しています(24日付ツイート)。

コルビー氏はトランプ政権時代に「国防戦略」(NDS)を組み立て、アメリカの国防を、以前の「対テロ組織」戦略から「大国間競争」を前提とした戦略に転換した人物です。ロシアではなく中国こそが問題であるとし、中国包囲網の重要性を指摘してきました。

バイデン政権の外交が中露合体を招き、戦争を拡大させているとする指摘は、以前からなされてきましたが、ますます深まる中露の協調を受け、懸念の声が一層高まっています。

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