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ウクライナで起きることは台湾でも起きる──。

「ある国が共産主義化すれば、ドミノ倒しのように隣接する国々も共産化する」という、米ソ冷戦時代にもてはやされた「ドミノ理論」が現代に復活し、その理論でもってウクライナ支援を正当化するのは誤りであると、米ナショナル・インタレスト誌の元コラムニスト、マーク・エピスコポス氏が指摘しています。

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ウクライナのゼレンスキー大統領は昨年3月に、ウクライナが陥落すれば、「次はラトビア、リトアニア、エストニアだ」と語ったように、ロシアの軍事介入が他国に広がる恐れがあるとし、"民主主義国の守護者"としてウクライナを支援すべきであると何度も主張しています。ここで"悪しき前例"をつくれば、他の専制主義国をつけ上がらせ、中国の侵略を助長させてしまうという懸念は、日本でも無批判で受け入れられています。

そんな中、米シンクタンク「クインシー研究所」にこのほど寄稿したレポートで、エピスコポス氏は「ウクライナと台湾の類似は、経験的にも根拠がなく、概念的にも欠陥がある。これは、冷戦時代の考えが浅いドミノ理論の再来であり、徹底的に一掃しなければ、(ベトナム戦争のような)同様の破滅的な失態を招く危険性がある」と述べ、ドミノ理論に基づいてアメリカが介入したベトナム戦争の過ちを繰り返す可能性があると示唆しました。

同氏は、「中国の習近平国家主席らが、ロシアがウクライナ戦争に勝利すれば、台湾を侵攻すると考えている証拠はないこと(※中国の判断に影響を与えているのは、東アジアにおける日米台中の戦力バランスであり、ロシアの勝敗ではない)」「ウクライナを支援することが、東アジアにおける米軍の戦力強化につながるわけではないこと」「アメリカはウクライナに直接介入しないと明言しているが、台湾については何らかの軍事介入はしてもよいという方針であること」などを理由に挙げています。

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