©2022『とんび』製作委員会

 

2022年5月号記事

Movie

とんび

「お前は、海になれ」

【スタッフ】
監督:瀬々敬久
【キャスト】
出演:阿部寛、北村匠海、杏、安田顕、大島優子、麿 赤兒、麻生久美子/薬師丸ひろ子
【配給等】
配給:KADOKAWA イオンエンターテイメント
【公開日】
2022年4月8日より全国公開

 

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©2022『とんび』製作委員会

 

【レビュー】

直木賞作家・重松清氏のベストセラー小説が、二度のドラマ化を経て、待望の映画化。

舞台は昭和30年代の広島県・備後。日本一不器用な男・ヤスは幼いころに両親と離別し、家族が何よりも憧れだった。愛する妻・美佐子と息子・アキラのために、運送業で懸命に働きながら幸せを噛みしめていたが、美佐子が突然、事故死してしまう。悲しみに暮れるヤスだが、人情深い町の人々の叱咤激励と温もりの中、懸命にアキラを育てていく。

高校3年生になったアキラは東京の大学に合格。誰よりも喜びながら、息子が離れていく寂しさに「一人前になるまで帰ってくるな!」と、ヤスはアキラを突き放すが……。

昭和、平成、令和を駆け抜けるヤスとアキラの人生から、何気ない日々がいかに大切なものかを伝える本作。二人を囲む登場人物たちが、それぞれに思いや物語を抱えながら、支え合って懸命に生きる姿も垣間見える。劇中の、「山あり谷ありのほうが、人生の景色は綺麗なんよ」という台詞は、まさに人生という一冊の問題集を象徴しているだろう。

果たして、"とんびが鷹を産んだ"のか──。観終わるころには、多くの人が自分の父や息子に思いを馳せるであろう、熱くまぶしい父子の絆。

 

ザ・リバティWeb シネマレビュー

「とんび」

(星4つ。満点は5つ)