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2026年7月号記事

Movie

編集部がオススメする「今こそ観たい」映像作品。

「アイ・ワズ・ア・ストレンジャー」

6月19日(金)より TOHOシネマズシャンテほかにて全国順次公開

 

救いを求めたその先は絶望か、それとも希望か──

【スタッフ】
監督:ブラント・アンダーセン
【キャスト】
出演:オマール・シー、ヤスミン・アル・マスリー、ジアド・バクリ、ヤヤ・マヘイニ、コンスタンティン・マルクーラキス
【配給等】
配給:ハーク
【公開日】
2026年6月19日(金)より TOHOシネマズシャンテほかにて全国順次公開

 

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【レビュー】

2011年にアラブ諸国へと広がった民主化運動「アラブの春」が発端となり、シリアでも内戦が勃発。アサド大統領の長期独裁政権をめぐる政府軍と反体制派の激しい戦禍は24年まで続き、国外避難を余儀なくされた市民の数は1400万人にのぼった。

紛争下で引き裂かれていく家族、彼らを取り巻く人々の行方を、ドキュメンタリータッチのヒューマンドラマとして描いたのが本作。世界40カ国以上で上映され、24年の第74回ベルリン国際映画祭でのアムネスティ国際映画賞をはじめ、41の映画賞を受賞した

監督・脚本・製作を務めたのは、人道支援活動家でもあるブラント・アンダーセン。彼は、アカデミー賞実写短編映画賞にもノミネートされた映画『Refugee』(20年)を製作し、その後も、支援現場で起きた出来事や証言を丹念にリサーチ。シリア、トルコ、ギリシャ、アメリカを舞台に、異なる人生を歩む5つの家族が交差していく物語を、5章の群像劇として再構築した。

敵味方なく命を救う女性医師、民間人の処刑に葛藤する兵士、決死の密航に臨む詩人の家族、病弱な息子と移住するために荒稼ぎする密航業者、難民救出に力を尽くすギリシャ沿岸警備隊の船長……。彼らが直面する出来事は、すべて事実だったという。どの選択も絶望しか生まない時、人は未知の世界に希望を託し、人間性を繋ぎ止めるため、時には自己犠牲さえ厭わない。そうした姿を、スリリングながらも過度に感情を煽らない抑制された演出で描き、観る者に当事者のような臨場感を与えている。

彼らへの理解と共感を胸に、人々へ善行を尽くし、他者を思いやる時、世界は美しくなるという監督のメッセージが心を打つ。

 

ザ・リバティWeb シネマレビュー

「アイ・ワズ・ア・ストレンジャー」

(星4つ。満点は5つ)