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中国軍の艦艇が豪軍の哨戒機にレーザーを照射したことを巡り、豪中両政府が対立を強めています。

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オーストラリア国防省は19日、自国北方の排他的経済水域(EEZ)上空で飛行していた哨戒機が17日に、東に向かって航行していた中国海軍の艦艇2隻のうち1隻からレーザー照射を受けたと発表。「未熟で危険な軍事行為」「我が国の兵士の安全および生命を危険にさらすものだ」と批判しました。

翌20日にはスコット・モリソン豪首相が、レーザー照射は「威嚇行為以外の何物でもなく、いわれのない不当な行為である。オーストラリアはそのような威嚇行為を決して受け入れない」と断じました。

レーザー照射を受けると、視界に赤い残像が残り一時的な失明状態に陥ったり、網膜へのやけどなど目に損傷を負ったりするなど、パイロットは深刻な被害を受けます。視覚が奪われたことによって手元が狂い、パイロットが命を落とす恐れも十分あります。

しかし中国政府は、むしろオーストラリア側に責任があると主張しています。

中国国防省の報道官は21日、豪軍の哨戒機が中国の艦隊から4キロの距離まで接近し、艦隊の近くに潜水艦を探知するソナーを投下したと主張。「悪意ある挑発的な行為」だと非難しました。

中国外務省の報道官も同日、「中国の艦船は公海上の海域を正常に航行しており、国際法などに合致し、完全に正当で合法だった」、「悪質なデマを流布するのは控えるべきだ」と記者会見で述べました。

これに対して豪国防省は、豪軍の哨戒機が中国軍の艦船からレーザー照射を受けた際、哨戒機は艦隊から7.7キロの距離を置いており、一時的に3.9キロまで接近したものの、これは艦船を目視確認する上で標準的な距離だと説明しています。

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