画像左は、中国国営メディア・CGTNの沈詩偉氏が11月20日に投稿したツイート。右は、中国共産党系新聞・環球時報の胡錫進編集長が翌21日に投稿したツイートで、「この動画の内容から、北京時間の土曜日(20日)に撮影されたことは明らかだ」とする。いずれも、彭さんの写真や動画を投稿し、彼女が「安全かつ健康」で過ごしていることを主張する。

《ニュース》

中国の女子プロテニス選手・彭帥(ポンシュアイ)さん(35歳)が、中国共産党元幹部から性的暴行を受けたと告発した後に行方不明となった件を巡り、欧州連合(EU)は30日、彭さんが安全であることを証明するよう中国政府に要求しました。

《詳細》

本欄「中国のプロテニス選手消息不明問題を日本政府は『状況を注視』 中国の対応は子供だまし! 文明国にあるまじき恥ずべき行為を批判せよ」でも報じた通り、彭さんの状況を巡って中国政府への批判が世界的に高まっており、来年2月に予定している北京五輪をボイコットすべきだという声がますます強まっています。

そうした中、欧州対外活動庁(EEAS)は次のように声明を発表しました。

「EUは、スポーツ選手などを含め国際的に高まっている要求、つまり彼女(彭選手)が自由で脅威にさらされていないことを保証するよう求める国際的な要求に賛同する。この精神に基づき、EUは中国政府に対し、彭選手の安全、健康状態、所在について検証可能な証拠を提出するよう求める。EUは中国政府に対し、彭選手が主張する性的暴行について、完全かつ公正で透明性のある調査を行うよう求める」

「EUは特にRSDL(*)という手段を用いた強制失踪や恣意的な拘束に強く反対し、中国に対して、国内法および国際法に基づく人権保障義務を遵守するよう求める」

(*)「指定居所における居住監視」と呼ばれ、政府が裁判所の令状なしで対象者を隔離・尋問するために用いる拘留措置を指す)

11月20日から21日にかけては、中国政府による"火消し"の一環として、中国政府系メディアが彭さんの写真や動画をツイッターに投稿して健在だと主張し、さらには国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が彭さんとテレビ電話で会話したと発表もしました。

しかしEUの報道官はこれに対し、「彭さんの安全と自由に関する懸念を和らげるものではない」と一蹴。国際世論が納得するだけの、確固たる証拠を提出するよう求めています。

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