《ニュース》

中国の女子プロテニス選手である彭帥(ほう・すい)さんが消息不明になった問題について、松野博一官房長官は22日、「一刻も早く懸念が払拭されることを強く望んでおり、状況を注視していきたい」と述べるにとどまりました。

《詳細》

彭さんは2日、中国のツイッター的短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で、共産党最高指導部メンバーだった張高麗(ちょう・こうれい)元副首相と不倫関係にあったことを記した文章を投稿。同意のない性的関係を迫られたと発信し、即座に削除されました。

その後、彭さんの微博は閲覧できない状態が続き、国連人権高等弁務官事務所の報道官が中国側に所在確認を要求。アメリカのサキ大統領報道官も「深刻な懸念」を表明しています。中国外務省の定例記者会見で何度も質問が出ましたが、「外交問題ではない」などという回答しかされませんでした。

中国国営中央テレビ系の中国環球電視網が18日、彭さんについて公正な調査を求める女子テニス協会のサイモンCEOに送ったという英文メールをツイッターで公開。そのメールには、性的暴行を否定し、「私は行方不明ではなく、危険な状況でもない。家で休んでいるだけで全て問題ない」としていましたが、サイモン氏は「懸念が高まった。本人が書いたと信じるのは難しい」とコメントしています。

さらに21日には、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が彭さんとテレビ電話で会話したと発表しましたが、本人であるとは断定できず、またIOCが中国側におもねっている疑惑もあるため、彭さんを心配する声はさらに高まっています。

彭さんの問題や新疆ウイグル自治区でのジェノサイド、香港での人権弾圧などを理由に、英米は北京冬季五輪のボイコットを検討しているとも報じられています。一方で日本政府は冒頭の松野氏のコメントの通り、中国問題への深入りを避ける姿勢を貫いており、欧米との温度差が際立つ形となっています。

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