2隻の中国海軍の揚陸艦が11月中旬、沖縄県の与那国島と台湾の間の海域を通過して、台湾東部の沖合で上陸作戦を想定した軍事演習を実施していたと、産経新聞は25日に一面で報じた。

揚陸艦は2隻ともドック型揚陸艦(LPD)で、東シナ海や台湾正面を担当し、浙江省寧波市に司令部を持つ東海艦隊の所属。14日前後に沖縄・与那国島を南下して台湾東部・花蓮沖に進出し、一定時間、同海域にとどまった。

陸上自衛隊の沿岸監視隊が与那国島の海空域を監視しているが、防衛省の統合幕僚監部は2隻の動向に関して発表していない。そのため中国の演習の詳細は依然、不明のままだ。日台の防衛当局はそれぞれ分析を始めているという。

同記事によれば、台湾当局の関係者は「中国は、最近、日本の南西諸島を攻撃目標の選択肢に加えた」と指摘し、中国の海軍陸戦隊(海兵隊)が島嶼占領や上陸後に対空・対艦兵器を制圧する訓練を行っているとした。「日本側も注意すべき事案だ」と述べ、警鐘を鳴らしているという。

台湾侵攻と同時に与那国島などの先島諸島は占領の危機に

中国が台湾海峡を挟んだ位置にある中国沿岸部から台湾西部に直線的に侵攻するだけとは限らない。今回の演習で示されたように中国軍が台湾東部へ侵攻する際には、安全を確保するために、その背後と側面に位置する与那国島などの先島諸島を占領する恐れがある。まさしく、台湾有事は日本の脅威ともなっている──。

そう指摘するのは、元陸上自衛隊中部方面総監の山下裕貴氏。11月30日発刊の本誌2022年1月号では、山下氏のほかにも元米海兵隊のロバート・エルドリッヂ氏などのインタビューに加え、台湾有事と沖縄がどうリンクするかという詳細なシナリオを掲載。そして、沖縄、日本が取るべき方策についても提案している。ぜひ、お読みいただきたい。

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