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本誌・本欄でも指摘してきた通り、米議会は超党派で対中強硬姿勢を強めています。

バイデン政権が今年5月末に「予算教書」として議会に求めた国防総省予算についても、共和党のみならず、民主党内からも「足りないのではないか」と"突き上げ"が起きています。

下院軍事委員会(House Committee on Armed Services)の副委員長を務める民主党下院議員のエレイン・リューリア氏は6日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿。「ペンタゴンは中国(の脅威)を真剣に受け止めているのか(Does the Pentagon Take China Seriously?)」と題し、国防予算の増強が急務だと訴えました。

《詳細》

リューリア氏は20年間に渡って米海軍に奉職し、中佐として数百人の乗組員を指揮した経験もある人物です。

2018年にバージニア州第二選挙区から出馬した同氏は以前から、中国の脅威に対抗するには、インフレ調整に上乗せする形で、さらに「3~5%の国防予算増強」が必要だと主張してきました。

今回のWSJへの寄稿でリューリア氏は、ペンタゴンは中国を「最大の脅威だ」と言っているものの、予算を見る限りは海空両軍の戦力を削る方向に動いており、「言行が一致していない」と論じています。

同氏は特に、米海空両軍において、新たに追加する兵器より処分する兵器の数が上回っていることを強く懸念。一連の軍事縮小の帰結として、中国海軍の艦隊数は米海軍を凌駕し、中国空軍は世界三位の規模を誇るに至ったと指摘しました。

その上で、米インド太平洋軍司令官に就任したジョン・アキリーノ大将による、中国が台湾を侵攻する日は近いという発言に同意を示し、議会として、ペンタゴンの「言行ギャップ」を縮め、中国を抑止するために必要な国防予算を提供する義務があると訴えかけています。

議会が超党派で対中強硬路線の合意を固める中、今後、どのように国防総省予算が編成されていくのか、注目が集まっています。

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