《本記事のポイント》

  • MUFGが邦銀で初めて、融資先の「脱炭素」目標を表明
  • 「脱炭素」がもたらす世界大恐慌のリスク
  • そもそも温暖化説自体の信憑性が怪しい


三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)はこのほど、投融資先の温室効果ガス(CO2)排出量を2050年までに実質ゼロにする方針を発表した。

邦銀が脱炭素を明確に打ち出すのは初めてで、政府の掲げる方針に足並みを揃えた形だ。

基本的には、投融資先の排出量ゼロを後押しするため、設備投資や開発費などの融資を強化する。来年度にも具体的な取り組みや、30年までの中間目標を示すとのことだ。

MUFGは、世界の銀行大手からなる、投融資先の排出量ゼロを目指す「ネットゼロ・バンキング・アライアンス」にも参加を表明している。

「脱炭素」がもたらす世界大恐慌のリスク

今回の方針により、「CO2排出量の多い企業・産業」への融資が絞られ、「排出量削減に寄与するとされる企業・産業」への融資が増えていく可能性がある。そうなれば、日本の経済構造は"高コスト体質に改造"され、停滞していくことになりかねない。

MUFGはすでに4月、石炭火力発電所の新規設備建設、既存設備の拡張・建て替えなどへの融資を取りやめる方針を発表している。こうした「絞り」が今後、石油火力発電についても行われていく可能性がある。

一方、太陽光発電や洋上風力発電などに対する融資は増やしていくことが想定されるが、これらは発電量に比して投資コストが高い上に、発電量そのものも不安定となる。

脱化石燃料発電が進めば、電気料金が上がり、停電リスクが高まることになり、そのしわ寄せは産業全体に及ぶ。

さらに各産業においても、自動車産業(ガソリン車)や製鉄業、化学工業といった日本の中心的業界ほど、CO2の排出量が多い現状がある。もしそうした産業が、CO2排出削減のために湯水の如き投資をしなければ、各銀行から干されていくような流れになれば……。製品開発・高品質化や製造効率化への投資もその分遅れることになるだろう。

この脱炭素の動きは、コロナ不況と相まった場合、世界大恐慌(GDPマイナス30%規模)の引き金を引く恐れがあることは、本誌試算の通りだ(関連記事参照)。

そもそも温暖化説が怪しい

そもそも、多くの代償を払ってCO2排出量を削減しても、「地球の危機を回避し、多くの人命損失・経済損失を回避する」ことにはならないだろう。本誌・本欄で指摘してきた通り、地球温暖化と人間の排出するCO2量との間の因果関係が不確かであるばかりか、温暖化そのものが事実であるか怪しい。

「脱炭素」のため、金融業界にも官民各所から圧力がかかっているだろう。しかし、日本全体で誤った資源配分がなされていかないよう、冷静な見極めを行っていくことも、バンカーの使命ではないか。

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2021年4月号 脱炭素社会は世界大恐慌への道 - Part 1

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