国防総省(ペンタゴン)によるUFO情報の開示が迫っており、さまざまな期待や憶測を呼んでいる。そんななか、アメリカの経済界や学術界からは、「米政府がUFOを真剣に扱っているのだから、我々も続け」という声が上がっている。

5月4日付米ブルームバーグのオピニオン欄で、同社のコラムニストであり、ジョージ・メイソン大学経済学部のタイラー・コーウェン教授が、「ペンタゴンがUFOを真剣に受け止めているのなら、市場もそうすべき」というコラムを掲載している。

同記事では、ペンタゴンがUFOを真剣に受け止めている今、市場にとってそれが何を意味するのかを考えるべきだとし、もしUFOが宇宙人の飛来を意味するのなら、それが市場へどう影響するのかを予測している。

例えば、数名の上院議員が記者会見で「UFOは宇宙人起源の仮説を除外できない」と発表した場合、彼は、VIX(この数値が高いほど投資家は先行きに不安を感じている)が一時期上昇しても、投資家たちは、宇宙人がどこかの施設に勾留されているなどとは信じていないため、すぐ通常に戻るだろうと予測。ほとんどの市場価格に変動はないだろうとのことだ。

また、もし宇宙人が人類を観察しているのなら、防衛関連の株価が上昇するとも予測。しかし、人類が好戦的で排他的なために、彼らの怒りに触れ、人類が抹殺されるようなことにでもなれば、金やビットコインなど何の役にも立たないという。

いずれにせよUFO宇宙人説の可能性が高いなら、米国政府がUFO現象に最も密接に関連しているため、今まで通り強い通貨としてドルが安全とのこと。また、宇宙人の存在に関連する様々なミニマーケットが派生し、ハリウッドも新たなエンターテイメントを生むだろう、とも予想している。

コーウェン氏は、「市場の適応能力を過少評価してはならない。ウォールストリートは宇宙人をも含むどのような人ともビジネスを行う方法を見つけることができる」と、驚くほど柔軟で先進的な意見を述べた。

また、4月17日付NBCニュースのオピニオン欄では、MIT(マサチューセッツ工科大学)の技術者であり、起業家、投資家のリズワン・ヴィルク氏が、「米軍はUFOを真剣に受け止めている。シリコンバレーや学術界も後に続け」と訴えている。

ヴィルク氏は、「米政府は、UAP(UFO)を無視するという態度を改め、この問題に取り組み始めた。しかし、学術界や産業界は、いまだ嘲笑とともに退けようとする」と非難。政府は、UFOを国家に対する軍事的脅威としてみているが、もし、この問題に学術界と産業界が追随するなら、科学技術を飛躍的に進歩させる機会となるという。そしてUFOは、地球の科学のすべてを再定義することにつながるかもしれないのに、一流の科学者らが好奇心を示さないことに疑問を呈している。

とはいえ、過去には、ハーバード大学の精神科医ジョン・マック博士がエイリアン・アブダクションの研究を、最近では、同じくハーバード大学の天文学者アヴィ・ローブ博士が、太陽系外に起源を持つ葉巻型の物体は、宇宙人による人工物の可能性があると発表して大きな話題になっていることも事実。ヴィルク氏は、偏見を乗り越え、各界のリーダーがオープンマインドな姿勢でこの件に取り組むことを強く奨励している。

5月3日には、ペンタゴンの観察総監室(違法な行為や内部告発者の苦情などを調査する独立した監督機関)が、「UAPに関する国防総省の取り組みの評価」を開始すると発表し、国防長官府、諸軍事機関、統合軍、戦闘支援機関、国防総省及び、軍事犯罪捜査機関の各オフィスに通達した。

トランプ前大統領の"置き土産"は、現在、着々と進んでいるようだ。世界中が、ペンタゴンによる史上初の情報開示を注視している。(純)

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