《ニュース》

アメリカでバイデン政権がスタートを切る中、中印の緊迫が高まっています。

中印両国が国境を争うヒマラヤ地域で20日、両軍による衝突が起き、双方に負傷者が出ました。インド軍が25日、インド北東部シッキム州(地図赤丸参照)の北部ナクラで「小規模な対立」があったと声明を発表。インドメディアによると、中国軍の兵士がインド領土に侵入しようとしたため、インド軍の兵士が押し返し、その際に負傷者が出たとのことです。

《詳細》

衝突に関して、中国外務省の趙立堅(ジャオ・リージエン)報道官は記者会見で特に詳しく言及はしなかったものの、「中国の国境警備隊はインドとの国境地帯の平和と平静を守るために努めている」と強調し、「インド側も我々と同じ方向で努力し、国境地帯の状況をエスカレートさせたり複雑にしたりするような行動を避けるよう」求め、インド政府を牽制しました。

中国政府系メディア「環球時報(グローバル・タイムズ)」紙の編集長は、両軍による衝突は「フェイクニュース」であるとツイートし、そもそも衝突はなかったと否定しています。

シッキム州はブータンの西側と国境を接する州ですが、ブータンの東側と国境を接し、1962年の中印国境紛争の舞台となったアルナチャルプラデシュ州(地図青丸参照。チベット自治区に面し、現在はインドが実効支配している)でも、中国が集落を建設していることが明らかになっています。

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集落建設について、中国外務省の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道局長は21日の記者会見で、「中国の域内に違法に建設された『アルナチャルプラデシュ州』なるものを容認したことはこれまで一度もない」「(集落建設は)自国内での通常の建設活動で、主権の問題だ」と強調。実効支配する意図を示しました。

昨年6月には、旧ジャンムー・カシミール州東部のラダック地区(地図参照)でも、インド兵20人以上が死亡する衝突が発生しており、中印両国は、1962年の国境紛争以来と言える緊迫状態に面しています。

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