《本記事のポイント》

  • 「子供ができても職業を続ける方がよい」と考える人の割合が初の6割に
  • 幼児教育・保育・高等教育の無償化など、女性が活躍できる社会を政府も後押し
  • 「なぜ子供を預けてまで働くか」を考えないと女性の自由を縛ることになる

内閣府が15日に発表した世論調査で、「子供ができてもずっと職業を続ける方がよい」と考える人の割合が、1992年の調査開始以来、初めて6割を超えた。

この調査は9月に全国の18歳以上の5千人を対象に個別面接形式で行ったもの。上記の設問の割合は61%で、2016年の前回調査から6.1ポイントも増加した。内訳を見ると、女性の61.8%、男性の58.4%が「子供ができてもずっと職業を続ける方がよい」と答えている。

逆に、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対しては、「賛成」「どちらかといえば賛成」は計35%と、前回と比べて5.6ポイント減の過去最少となった。

政府が推進する「女性活躍社会」への政策

この結果は、政府が推進する「女性活躍社会」への政策が功を奏しているという見方もできる。

政府は「女性の活躍を加速」させるために、さまざまな政策を実施してきた。身近なところでは、乳児用液体ミルクの製造・販売を可能にするための法改正、幼児教育・保育・高等教育の無償化などがある。

おかげで、産後の職場復帰が以前より容易になった面はあるかもしれない。

しかし、実際に働くお母さんたちの声を聞くと、政府による政策とニーズへのギャップを感じるところもある。

なぜ子供を預けてまで働くのか

まず、子供が小さいうちから働くことを、全てのお母さんが望んでいるわけではない。

子供が小さいうちから働くのは、経済的な理由も多いが、「産後半年で復帰しないと、職場に"戻る場所"がなくなってしまうため、仕方なく0歳児を預けて働いている」といった声もある。

職場の規定では、年単位の産休・育休が認められていても、復帰後のポストがどうなるかは分からないことが多い。出産前とは違う部署に配属されることや、本人の意に沿わない働き方になる場合もある。それを恐れて、早い段階で泣く泣く職場復帰をするお母さんもいる。

男女平等が日本以上に進むとされる欧米では、産後数カ月で仕事に戻ることが半ば当然となっている国もある。そのため、本当は子供が小さいうちは育児に専念したいお母さんも、「なぜ働かないの?」と奇異の目で見られるため、預けて働くことを選択することが多いという。

日本も欧米のような社会に近づいていることを、冒頭の調査結果は裏付けているのではないか。

時代が変わるにつれ、男女のあり方や働き方も変化する。政府がその変化に合わせた支援を行うことも必要だ。しかし、「子供ができてもずっと職業を続ける」という、女性の自由性を高めるはずのものが、「産後も働くのが当然」という風潮となり、女性の本当の自由や幸福を失わせるものになってはならないだろう。

(駒井春香)

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