文在寅大統領が率いる韓国政府の「奇行」が止まらない。

韓国海軍駆逐艦のレーダー照射事件、日韓GSOMIAの一方的廃棄に続き、8月末には「在韓米軍基地早期返還計画」にて突如「移転手続きを年内に開始する」と発表。急速に日米との距離を取る様子は北朝鮮との統一に向けての「準備」のようにも見えるが、北朝鮮の非核化が不透明な中、「核保有の統一国家」の出現の危機が強く懸念されている。

本誌は2014年3月号で、当時、反日外交を展開していた朴槿恵(パク・クネ)大統領へのメッセージとして、「救韓論 ~韓国が「近代化」する5つの方法~」という記事を掲載した。

記事では、上記5つの方法について、歴史的事実に基づいて1つひとつ丁寧に分析・提案している。約5年が経過しているが、根本的な問題は解決しておらず、内容は古くなっていないので、ぜひお読みいただきたい(2014年3月号本誌記事 「救韓論 韓国が『近代化』する5つの方法」)。

今回は、上記企画に登場いただいた拓殖大学国際学部教授の呉善花氏のインタビューを紹介する。

(※2014年3月号記事再掲。年齢や肩書きなどは当時のもの)。

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Interview

韓国は北朝鮮化ではなく自由主義化こそ目指すべき

拓殖大学国際学部教授

呉善花

(オ・ソンファ)1956年、韓国・済州島生まれ。83年に来日し、大東文化大学(英語学専攻)の留学生となる。その後、東京外国語大学大学院修士課程修了。在学中から執筆活動を始める。近年、日本に帰化。おもな著書に、『なぜ「反日韓国に未来はない」のか』(小学館新書)、『攘夷の韓国 開国の日本』(文春文庫・第五回山本七平賞受賞)、『スカートの風』(三交社)など多数。

韓国は今、本来ならば自由主義国と手を結ばなければならないのに、むしろ北朝鮮化しています。北朝鮮は、李氏朝鮮の頭を「王朝」から「共産主義」にすげ替えてできたような国家ですが、韓国も元は同じ民族です。共通の歴史を持ち、価値観自体は自由主義より全体主義(北朝鮮)のほうに親和性があります。

実際、今の韓国では親日的な発言をすれば社会的に抹殺されます。韓国出身の私が昨年、私の親日的な言論活動が原因で入国拒否されましたが、その時も、ネット上でさえ私を擁護したり、言論の自由侵害について政府を批判する声はまったく出ませんでした。

また、韓国メディアは、都合のいいことだけを切り取って報道することが多く、信用できません。最近の歴史教育も同じで、北朝鮮の体制を擁護して、日本のことは貶める嘘が多いです。

併合時代に韓国人は搾取され、虐殺されたと教えていますが、資料などを調べて見れば、人口は30年間で倍ぐらい増えています。米生産量もこの時代に2倍以上に増えているのです。統治時代に、経済的に飛躍的な発展をしていたのは間違いありません。

また、日韓基本条約などで、戦後に日本が何度も経済支援したことは、韓国人にはあまり教えられていません。

中国に擦り寄る韓国の甘さ

冒頭でも触れましたが、なぜ韓国が北朝鮮化し、中国に擦り寄っているのかと言うと、1997年に通貨危機に襲われた頃から、進むべき道が見えなくなっていることが大きいと思います。

経済破綻寸前になってIMFの管理下に置かれる屈辱を経験しました。その後、貧富の格差は開く一方で、離婚率も上がり、犯罪も増えて社会が荒廃してきました。その不満のはけ口として、反日に加えて反米意識が高まってきたのです。

一方、北朝鮮はもともと反日と反米で成り立っている国ですから、「北朝鮮は、古き良き朝鮮半島の伝統を守っているのではないか」という思いが韓国社会に生まれてきました。そこで盧武鉉元大統領が、北朝鮮への宥和政策を行うと同時に、併合時代に親日的な活動をした人から財産を没収する「親日法」(注)のような強硬な反日政策を進めたことで、反日と親北朝鮮は政治的に強く結びついてしまった。

さらにその時期、中国が急速に国力を強め、アメリカを超える経済大国になるのではと思えてきた。中国のような大陸的な精神性に親和性を感じやすいのが朝鮮半島です。その大人のように思える中国の力を借りれば、北朝鮮の暴発も止めてくれると期待しているのです。しかし、中国は韓国を利用はしても、いざとなったら助けたりはしません。そこに韓国の甘さがあります。

また、北朝鮮にいくら親近感を持ったところで、北朝鮮はポルノを見ただけで死刑になるような国です。そんなに自由のない国と一緒にはなれません。

必要なのは「反省」

韓国に今必要なのは、反省の機会です。通貨危機の時、私は韓国社会に初めて、自分たちの力不足を反省する機会が来たのではと期待しましたが、本格的な反省には至りませんでした。

私自身も韓国で反日教育を受けて育ちましたが、日本に留学してから疑問を持つようになりました。しかし、これまでの「常識」を捨て去って、日本の本当の姿を学べるようになるまで大変な苦労をしました。韓国にはそういう時期が必要です。

韓国と日本は、違う人種と言えるほど価値観が違いますが、どこかで同じ価値観の持ち主だと錯覚をしていて、極めて甘い関係になっていることから、様々な問題が発生しています。この機会に、あえて距離を取ったほうが、お互いのためにはいいと思います。

戦時中の徴用工の遺族に対して、新日鉄と三菱重工に損害賠償の支払いを求める判決がありましたが、三菱重工はそれに応じないことを表明しました。あのような態度を取られると、意外と韓国は日本を見直すのです。

最近では、韓国内でも反日外交を批判する論調が出てきています。今こそ韓国は反日イデオロギーを捨て、白紙の目で日本から何を学ぶべきかを真剣に考えるべきです。(談)

(注)「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」の略。併合時代に親日的な行動をした人から、その当時蓄えた財産を国が没収できるという法律。

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