香港の旺角にある「六四記念館」。

中国の民主化を求める学生たちが、中国共産党によって武力弾圧された1989年の天安門事件から、30年が経った。

中国では、情報統制が敷かれているため、天安門事件について触れられることはない。

しかし、香港では4月末、天安門事件に関する資料を集めた「六四記念館」が3年ぶりに再オープン。多くの人が訪れている。

連日多くの人々が訪れる「六四記念館」

本誌編集者は1日、香港の繁華街・旺角(モンコック)の雑居ビルの10階にある記念館を訪れた。

だが、ビルの入り口には、何も案内がないため、一度、通り過ぎてしまった。2つ隣の店の前でチラシを配っていた店員も、その存在を知らなかった。再オープンして早々、襲撃事件があったため、ビルのオーナーから看板設置を禁じられているのだろうか。

中に入ると、それほど広くないスペースに、天安門事件の犠牲者の遺品やジャーナリストたちの証言映像、時系列でまとめた写真、当時のさまざまな報道資料などが陳列されている。

常時20~30人が熱心に見学。海外からの訪問者も少なくなさそうで、欧米人や日本の報道関係者の姿も見られた。連日、約200人が訪れているという。

香港の「六四記念館」では、多くの人が熱心に展示物に見入っていた。

「香港にとっても、中国の民主化は理想だった」

リー・シェク・ワン氏

プロフィール

香港市民支援愛国民主運動連合会の事務局長

編集者が記念館を立ち去ろうとした時、記念館の責任者の一人で、天安門事件の追悼集会を主催する香港市民支援愛国民主運動連合会(アライアンス)の事務局長リー・シェク・ワン氏が、偶然、記念館を訪れた。

リー氏は5月、香港の民主派から「民主主義の父」と呼ばれる元政治家のマリン・リー氏と共に訪米し、ポンペオ米国務長官に、逃亡犯条例改正阻止への支援を陳情した人物だ。

リー氏に声をかけたところ、取材に答えてくれた。

「私たちは今、香港の未来と人権と自由を守れるか否かの重要な分岐点に立っていると思います。私の世代は30年前、中国共産党の弾圧政策に気づき、学生たちの民主化運動を支援していました。みんなが『中国は変わる』と信じていました。香港にとっても、中国の民主化は理想だったのです。

しかし、この運動は残酷にも潰されました。天安門広場に戦車が突入し、そこに集まっていた人々を虐殺したのです。いまだに死者の数すら分かりません。この事件は香港の人々にとって、忘れがたいものとなりました。『一国二制度』の相手国は、自国民を平気で虐殺する国であるということです。

私たちは30年間、天安門事件の犠牲者を追悼し、共産党政権の存在に異議を唱えてきました。追悼式を通して、『六四事件はその日限りのことではない。共産党は今も毎日、独裁的弾圧を行っているのだ』と世界に訴えようとしています。そして、ただ追悼するのではなく、香港の自由や中国の人権のために戦う"大義名分"に昇華していくことが、重要だと思います。

私たちの運動は、過去に戦って命をなくした勇者たちを弔い、今生きている人々の自由と人権のために戦う運動です。六四記念館は、天安門事件の記憶を抹殺しようと企む共産党の動きを阻止することを目的に、創設しました。私たちはその記憶を大切に保存したいのです。そして、中国から香港を訪れる方々にご来館いただき、1989年に本当は何が起きたのか、知っていただきたいのです。私たちは真実を守り、真の正義を要求し続けるつもりです」

追悼集会で自由や民主主義を守ることを誓う

4日、リー氏らが主催する数万人規模の追悼集会が、香港のビクトリア公園で開かれた。参加者はろうそくを片手に、天安門事件で命をなくした勇者たちに思いを馳せつつ、香港の自由や民主主義を守ることを心に誓った。

4日に香港で開催された、天安門事件30周年追悼集会の様子。

本誌7月号では、「天安門事件から30年 中国の若者が再び立ち上がる」という特集の中で、天安門事件を研究してきた専門家や中国出身の人権派弁護士、元共産党エリートなどにインタビューしている。彼らは一様に、中国民主化の希望を抱き続けていた。

日本は世界のリーダー国として、自由と民主主義の価値観を大切にする国々を団結させ、中国の民主化を支援していくことが求められるのではないだろうか。

【関連書籍】

幸福の科学出版 『愛は憎しみを超えて』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2167

【関連記事】

2019年7月号 天安門事件から30年 中国の若者が再び立ち上がる

https://the-liberty.com/article/15789/

2019年6月2日付本欄 天安門事件から30周年 東京都内の記念集会で活動家らが日本の対中宥和路線を牽制

https://the-liberty.com/article/15837/