画像は柴山氏のツイッターから。

《本記事のポイント》

  • 柴山文科相の「教育勅語」を巡る発言は、政府見解を踏襲したもの
  • 野党やメディアは、柴山氏の「哲学」にこそ注目すべき
  • 「教育勅語」自体も、世界から絶賛を受けており、一方的な批判は公平ではない

内閣改造に伴い、柴山昌彦(まさひこ)文部科学相がこのほど就任した。

2日の会見で教育勅語についての見解を問われ、柴山氏が「現代風に解釈されたり、あるいはアレンジをした形で、道徳などに使うことができる分野は十分にあるという意味で、普遍性を持っている部分がある」と回答したことに対して、野党から批判が集まっている。

メディアや野党は、「非常事態には臣民は皇室のために一身を捧げる」といった記述があることから、教育勅語を「軍国主義的」だとしており、それを評価する柴山氏を「戦前回帰」だと批判している。

しかし、柴山氏の発言は従来の政府見解との大きな違いはない。

昨年3月、森友学園が子供たちに教育勅語を暗唱させていたことが大きく取り上げられた際、政府は「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」とする答弁書を閣議決定した。

2014年には、文科事務次官を務めた前川喜平元氏が、「教育勅語の中には今日でも通用するような内容も含まれておりまして、これらの点に着目して学校で活用するということは考えられる」と答弁。続いて、文科相を務めた下村博文氏も「教育勅語の内容そのものについては、今日でも通用する普遍的なものがある」と発言している。

柴山氏は政府見解を踏襲しただけであり、ことさら批判する必要はないはずだ。

文科省に必要な「無私の心」

むしろ注目すべきは、文科省改革を目指す柴山氏が「無私の心」を重視しているという点だ。

柴山氏は8月、山口県で行方不明となっていた男児を発見したスーパーボランティア・尾畠春夫さんの姿に感銘を受け、「自己中心社会にあって、こうした無私の取組みをこそ私たちはたたえるべきでないのか」とツイート。「無私の取り組みをする国民を増やすためにはどうしたらいいですか」という質問に対して、「私は戦後教育や憲法のあり方がバランスを欠いていたと感じています」と返答した。

2日の会見で同ツイートの趣旨説明を求められ、柴山氏は「教育というのは、当然ながら、私たちの権利と同時に義務や規律についても教えていかないといけない。(中略)権利や義務あるいは規律ということをバランスよく教えていくことが、これから求められるのではないか」と回答している。

義務を果たし、規律を守り、公に奉仕する姿勢は、スキャンダルの連続で信頼が失墜する文科省に最も必要なものだ。こうした、改革の基盤となる「哲学」をこそ、メディアは取り上げるべきだろう。

世界が大絶賛した教育勅語

そもそも、教育勅語とはどういうものだったのか。

教育勅語は、明治天皇が国民に語りかける形で書かれた、「国民の道徳」のようなものだ。当時、西洋式の教育や、英語教育が取り入れられていく中、「日本で培われてきた道徳精神が失われるのではないか」と危惧した明治天皇が、1890年に発布された。

実は、教育勅語は戦前、世界で並々ならぬ評価を受けていた。

1912年に明治天皇が崩御した際、世界中の新聞・雑誌が追悼文を掲載した。その中でも、明治天皇が出した教育勅語を、以下のように高く評価する記述が目立った。

「明治天皇の教育勅語は、様々な国家で模範とするべきだ。そしてこの教育勅語は国民の真心の基礎をつくるものだ」(米雑誌「レビュー・オブ・レビューズ」)

「明治天皇がつくったものの中で、特に教育勅語は、文体も内容も、世界において末永く残る文学に属するといえる」(米雑誌「ノース・アメリカン・レビュー」)

「明治天皇が、日本国民に実践的な規範を示されたことは、ご自身が帝王としての役目を悟っていらっしゃったから」「日本人が、この教育勅語を尊敬するのは、欧米人が『聖書の十戒』を尊敬するのとほとんど同じ」(英雑誌「ナインティーン・センチュリー・アンド・アフター」)

「明治天皇の教育勅語は新しい日本の教育に関する、永遠無窮の基礎だ」(独雑誌「ロイド」)

教育勅語は、父母や同胞への慈愛、公への奉仕の大切さなどを説いており、国民の「無私の心」を育てた。だからこそ戦後GHQは、日本の国力を弱めるために、日本の教育を徹底的に否定したのだ。

こうした側面を報じないままヒステリックに批判を繰り返す姿勢は、公平さを欠いていると言わざるを得ない。

(片岡眞有子)

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