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《本記事のポイント》

  • 管理職になった人の多くが、努力によって能力を開発した。
  • 外務大臣・陸奥宗光の妻・亮子は、芸者から大使夫人へと能力を変化させた。
  • 日本語の英訳本を出すなどの活躍の裏には「習慣力」があった。

日本国内の企業に常勤する4000人の管理職を対象に行ったアンケート調査の結果が、このほど発表された。科学技術・学術政策研究所が今年3月に実施したものだ。

調査によって、一般社員時代から主任・係長級時代、課長級時代、部長級以上と役職が上がるにしたがって、求められる能力が変化していくことが示された。

回答者の多くが、「リーダーシップ」や「部下(後輩)の管理・育成能力」「ビジョン・政策立案力」「俯瞰力」など、一スタッフだった時にはそこまで必要とされなかった能力が、昇進に伴って求められるようになったと答えている。

興味深いのは、多くの回答者がこうした能力を、「就職した後に職場で」身に付けたと答えていることだ。管理職になった人の大多数が、努力によって「後発的に」能力を開発したことがうかがえる。

芸者から大使夫人に「変身」した自己変革力

立場の変化に応じて能力を磨き、自分自身を変革させられる人――。

そうした人物は、どんな環境に身を置いてもいずれ頭角を現す。明治の時代にも、自らを変え続けることで、アメリカのトップ層から高い評価を受けるに至った女性がいた。第二次伊藤内閣の外務大臣として、領事裁判権の撤廃を成し遂げた陸奥宗光(むねみつ)の妻・亮子(りょうこ)は、立場に応じて見事に自らを変化させた人物だ。

陸奥に見初められ、芸者だった亮子は17歳という若さで妻となり、その14年後に鹿鳴館で社交界デビュー。結婚から16年後には駐米公使となった陸奥とともに渡米している。この激動の変化に、どう自分を適応させたのか。

夫を支えるために亮子が取り組んだのが、読書習慣だ。

陸奥の勧めにより、新聞の社説や小説に始まり、伊藤博文や近藤勇の愛読書でもあった『日本外史』など硬派な歴史書に至るまで読んだという。その後、陸奥とともに渡米した亮子は、身に付けた教養に重ねて英語を猛特訓し、外交官夫人としての務めを果たす。

さらに亮子は、「まだ存在しないニーズ」を発見し、自らそれに応えた。

「日本文化の素晴らしさが海外では十分に知られていない」。そう考えた亮子は、日本の小説を英語に翻訳することを決意。毎朝2時間を費やして翻訳を完成させ、好評を博した。

こうした亮子の活躍は、白人主義が根強かった当時においても高い評価を受ける。現地新聞は、「陸奥夫人は公使館の中で最も美しい日本女性だ」「ワシントンの日本公使の妻・陸奥夫人は才気あふれる女性である」と称えている。

習慣の力で能力を開発する

芸者から大使夫人へ――。亮子の「自己変革」をたどる上でキーワードとなるのが、「習慣」だ。

まず、新聞の社説や小説によって書物に慣れ、その後重厚な歴史書も読みこなす。そして、英語に触れたことがない状況から、現地での学習と実践を経て、翻訳まで手掛ける。読書も英語も、日常に習慣を取り入れたことから始まっている。

自らに求められる能力が何かを理解し、習慣によってそれを段階的に身につける。これは、現代のビジネスマンにも通用する考えだ。

今月8日から全国書店で発刊されている『人格力』(大川隆法著、幸福の科学出版刊)には、こうした人生を変える「習慣力」について記されている。本誌の好評連載、「未来への羅針盤」を書籍化した本書は、自らの能力不足に悩むビジネスマンにとって、救いとなるだろう。

【紹介書籍】

幸福の科学出版 『人格力 優しさと厳しさのリーダーシップ』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2042

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