天皇陛下が「生前退位」を申し出られたと報道され、さまざまな議論が活発になっています。宮内庁は陛下からの申し出を否定しています。ただ、近年、ご高齢の陛下の公務の一部を軽減するなど、健康状態などにさまざまな配慮を行っていることは事実です。

そもそも、天皇陛下のお仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。

憲法に明記されている国事行為

まずは、国事行為として、内閣の助言と承認によって、国事に関わる行為があります。内閣総理大臣の任命や最高裁判所長官の任命、国務大臣などの任免の認証、国会の召集や法律・条約の交付など憲法に定められている行為です。宮内庁によると、2015年(平成27年)には、約1000件の書類に署名・押印をされたとのことです。

公人の仕事とみなされる公的行為

憲法で定められていないものの、天皇陛下が公人としての仕事を行ったとみなされるものがあります。たとえば、年に約200件以上開催される天皇皇后両陛下主催のご会見や晩餐会などには、国内で活躍する各界の著名人が招待されます。また、国際親善の公式晩餐や要人との午餐なども頻繁に開催されています。

そして、全国戦没者追悼式や各種学会の授賞式、地方視察に通われています。特に、障害者福祉施設への訪問は多く、通算で全国500カ所以上。大震災や大規模災害の際は、現地に赴かれて被災者の慰問に回られます。さらには数多くの海外訪問もされています。

私的行為には皇室の行事も

それ以外の行動は「私的行為」とされますが、皇室が伝統的に行ってきた、宮中での儀式である「宮中祭祀」も私的行為に位置付けられています。

宮中祭祀の中には、元日の早朝に行われる「四方拝」など、早朝から深夜にかけて行われるものもあり、陛下の体調を考慮して簡略化されているものもあります。例えば陛下が80歳となられた2014年(平成26年)以降、11月23日に行われる新嘗祭で深夜の「暁の儀」への出席を取りやめられています。

天皇陛下の多忙の原因は

天皇陛下のお仕事は多岐に及びますが、天皇陛下にしかできないのは、日本神道の神官の長としての、宗教者としての仕事です。すなわち、現在「私的行為」といわれていることが、最も大切なご公務です。

戦後、天皇の宗教的なお仕事は国民から隠され、目に見えるものが積み上がっています。日本神道の信仰と切っても切れない、天皇陛下の本来の役割が理解されていないことも背景にはあるでしょう。

憲法改正案の中には、天皇陛下を「元首」として位置付けるというものもあります。ただその場合、政治責任が明確になれば、現在よりもご負担がさらに重くなるということにもなってしまいます。皇室が末永く繁栄するためにも、日本人がその宗教的意味を理解する必要があるのではないでしょうか。(晴)

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