鹿児島県の口永良部島。近海を中国の軍艦が通過した。(画像は Wikipedia より)
フィリピンの青年2人が、中国が実効支配する南シナ海にあるスカボロー岩礁に上陸し、フィリピン国旗を掲げたと各メディアが報じた。
スカボロー岩礁は、本来はフィリピンが領有権を持つ。しかし、2012年に中国が実効支配を進め、以来両国が領有権を巡って争いが続いている。さらに、このスカボロー岩礁を巡っては、中国が年内に埋め立てに着手するとも報道されている。
青年らは、中国の覇権拡大に反対する団体に属しており、フィリピン独立記念日である12日に同団体のメンバーと、スカボロー岩礁に上陸を試みた。しかし、中国公船が接近を妨害したため、最後は海に飛び込んで泳ぎ、岩礁に上陸した。彼らは、「スカボロー岩礁がフィリピンの領土」であることを示そうとしたようだ。
日本でも4年前に、今回と極めてよく似たニュースが報じられた。中国と領有権を巡って争っている尖閣諸島に、日本人2人が上陸したのだ。そのうちの1人が、現在は幸福実現党遊説局長を務めるミュージシャンのトクマ氏だった。
同年8月には、香港の活動家が尖閣諸島に上陸。日本の領土に不法侵入したにも関わらず、日本側は、その活動家らをビジネスクラスで送還するという弱腰ぶりだった。トクマ氏らは、2012年9月、国有化されたばかりの尖閣諸島に上陸し、遭難者の慰霊碑に花を手向け、日章旗を掲げた。
トクマ氏は、上陸した理由について「民主党政権(当時)は自虐史観に基づいて弱腰外交をやり、日本をおかしくしてしまった。今回の中国への対応で自分の中のメインエンジンに火がつき、愛国心が火花を飛ばした」と語っている。
トクマ氏の尖閣上陸から4年経つ今、中国は南シナ海に進出するとともに、日本の周辺においても確実に既成事実を積み上げている。9日には尖閣諸島周辺の接続水域に初めて中国の軍艦が侵入し、15日には鹿児島県・口永良部島西の領海に中国海軍の情報収集艦が侵入した。中国側は、「航行の自由がある」として軍艦が領海に侵入することは問題ないとした。
これは、南シナ海で行われてきた「航行の自由」作戦を意識したものと考えられる。国際条約では、人工島は「島」と認められず、その領海も認められない。アメリカは「航行の自由」を掲げ、事前通告なしに中国が建設した人工島の周辺に軍艦を航行させたが、中国側は「中国の主権や安全保障上の利益を脅かし、地域の平和や安定を損なう」などと抗議した。
中国の態度は一貫しておらず、アメリカや日本などに対する挑発行為であることは明らかだ。
4年前と比べても、危機が迫っていることは確かだ。しかし、参議院選が近づく中、与党の自民党さえも国防を争点から外している状況だ。国を守ることに責任を感じ、具体策を訴えている政治家の声に耳を傾けるべきではないだろうか。(手)
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2012年9月18日付本欄 「尖閣に上陸した幸福実現党員は『愛国無罪』」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=4875
Web限定記事 尖閣に上陸したミュージシャン・トクマが日本と東京の未来を語る
http://the-liberty.com/article.php?item_id=5091
2013年1月号 「幸福実現党の防衛力&GDP倍増プラン」