最近行われたイランの弾道ミサイル発射実験を受け、アメリカは14日、国連安全保障理事会に制裁を課すよう申し入れた。

イランは、3月8日と9日に北部の山岳地帯から1,400キロ先のオマーン湾を目がけて弾道ミサイルを発射。イラン南西部に落下した。

このミサイル実験は、イランの保守強硬派である革命防衛隊が行った。イランでは2月、国会議員選挙で、ロウハニ大統領ら穏健派が躍進したため、保守強硬派が存在をアピールしたもの、という見方もできる。

ミサイルの胴体には、ペルシャ語とヘブライ語で「イスラエルは地上から抹殺しなければならない」という言葉が記されていた。また、ミサイルが発射された日は、アメリカのバイデン副大統領がイスラエルを訪問中だった。

イラン外務省は、核開発ではないため、「欧米など6カ国との核合意や国連安保理に違反していない。弾道ミサイルを含む短中距離ミサイルは、正当防衛のための通常兵器だ」としている。

北朝鮮とイランの「不都合な関係」

東アジアでは、北朝鮮の「水爆実験」やミサイル発射が脅威になっているが、中東では、イランということになってきた。この両国は、ミサイルなどの武器の開発をめぐって協力関係にある。

アメリカの財務省は1月、北朝鮮にミサイル技術を供与したとして、イランの関係者に制裁を課した。

米政府で対北朝鮮政策を担当してきたマーク・フィッツパトリック英国際戦略研究所・米国所長は、「北朝鮮とイランの協力継続は憂慮すべき事態だ」と述べている(2月17日付毎日新聞)。

北朝鮮とイランが、「アメリカも東アジアと中東の2つの地域で同時に対応できない」と踏んで、共謀してミサイルを発射している可能性も否定できない。

北朝鮮とイランの暴挙を支える中国

大川隆法・幸福の科学総裁は13日、福岡で行われた大講演会「時代を変える奇跡の力」の中で、北朝鮮とイランが裏で通じていることを指摘。弾道ミサイルの技術は中国から来ているとし、次のように述べた。

中国が北朝鮮を制裁するようなふりをしてみせても、本気でないことぐらいは、分かっているんです。(中略)中国の代わりに暴れさせてる部分があるからです。その中国に頼らなければ、北を抑えられないと思っているアメリカやヨーロッパや日本は、残念だけども、彼らの考えていることが見えていないと言わざるを得ません

その中国では、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、最高人民法院(最高裁)の周強院長が13日、「我が国の釣魚島(尖閣諸島)の海域での司法管轄権を明確にした」と主張。その根拠は、2014年に尖閣諸島の近海で起きた衝突事故を、中国の海事裁判所が処理したことだという。

「尖閣諸島は中国の領土」という主張を、既成事実化しようとしているのは明らかだ。

南シナ海を埋め立て、滑走路をつくり、レーダーや戦闘機を配備していることからも分かるように、中国は長年にわたって、「アジアを支配するシナリオ」を描き続け、その実現に向けて突き進んでいる。

北朝鮮やイランは、自国の生き残りのために、水面下で中国の支援を頼りにしているが、「力や恐怖によって世界を支配する」という中国の野望に対しては、日米が主導して阻止しなければならない。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『北朝鮮・金正恩はなぜ「水爆実験」をしたのか』 大川隆法著

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