本当に、「消費増税」は強行しなければならないのだろうか。

2015年10月~12月期の実質GDPの成長率が0.4%減り、年率でも1.4%減ったと内閣府が15日発表した。

この結果について、安倍晋三首相は、「中国の景気減速懸念など海外動向が背景にある」と、諸外国の動向が日本の景気減速へ影響していると強調しつつ、消費税増税については、「8%引き上げで、予想よりもはるかに消費の落ち込みが大きく長く続いた。(消費増税を)国民に納得していただき、消費への影響にも配慮しなければならない」とコメントするに留めた。

安倍首相の側近である菅義偉官房長官は記者会見で、消費増税について、「リーマン・ショックのような大きな経済変動が無い限りは予定通りやる」と、改めて強調している。

「消費増税」の影響

GDPが下がった大きな要因としては、個人消費が減ったことがある。2015年10月~12月期の個人消費は、年換算すると304兆円で、消費税を8%へ引き上げた直後の2014年4~6月期の年換算305兆円をも下回っている。

実際に小売現場でも、個人消費の減少が打撃となっている。16日付日本経済新聞の記事では、電機小売大手のヤマダ電機の山田昇社長が、「先行き不安で消費マインドが上がらない」とコメント。車業界では、1月の国内の新車販売台数は前年同月比4.6%減となった。

長らく続いたゼロ金利の効果が現れず、マイナス金利政策に対する期待が薄いのも、実体経済を支える個人消費が減り、企業の投資も期待されるほど増えていないからだ。お金を使う企業や国民がいないので、金融政策が空回りしているのだ。

このまま、来年4月に消費税を8%から10%へ増税すれば、日本経済への打撃は計り知れないだろう。

過去の失敗から学ぶ

また、消費増税をしても、長期的に見れば税収は増えない。日本では、7割の企業が赤字で、法人税を払っていない。消費増税による景気の落ち込みで、税金を払える個人・企業がさらに減りかねない。しかし、現在の安倍政権は、それも見越して、マイナンバー制度を取り入れることにより、取り逃していた税金を隅々まで集められる体制まで整えようとしている。

竹下登元首相は、消費税を導入した後、辞任した。その後、約30年の不況が日本を覆ってしまっている。過去の増税政策の失敗から学び、消費「減税」へシフトする時がきているのではないだろうか。

(HS政経塾 水野善丈)

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