韓国政府が2017年までに、歴史教科書を政府指導下で一本化する決定を下した。これに対して韓国人ジャーナリスト、コ・セウォン氏の反対意見が12日付ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されている。

「韓国も日本も不完全な歴史を教えるべき」?

韓国政府は一本化の理由として、現在の民間教科書会社が作成している韓国の歴史教科書について、親北朝鮮など左派に偏っている、多様性が失われている、などの理由を挙げてきた。それに対し、コ氏は以下のような主張を繰り広げた。

「歴史教育は本質的に政治的で、韓国において教育によって国民に影響を与えることは何も新しいことではない。しかし今の政府が、韓国の歴史を政府の厳しい指導の下で作成された唯一の教科書によって教えたがっているのは問題だ。また、朴槿恵大統領は慰安婦など先の大戦における諸問題を日本に直視させようとしているが、韓国が子供に自国の不完全な歴史を教えれば、日本も同様に自国の歴史の暗部を教えざるを得なくなるだろう」

要するに、韓国が自分の国の歴史の暗部を教えれば、日本の歴史教育に干渉する際の圧力になる、と言いたいようにも受け取れる。

歴史をねじ曲げてきた「歴史」

しかし、そもそも今回の韓国での、教科書問題における一連の騒動は、韓国政府が長らくの間、歴史を直視することなく、むしろねじ曲げてきたことに原因がある。

実は韓国において、歴史教科書を民間出版社が発刊するのを許可された時期は、ノ・ムヒョン政権下の2003年と、極めて最近のことだ。つまり、自由を重んじる民主主義国家と言いながら、それまでは国内で言論統制が行われていたことを意味する。

今までも韓国政府は、日本という共通の敵を作り、利用することで愛国心を高め、国民をまとめてきた。その最たる例が、竹島問題や従軍慰安婦問題だろう。しかし、これは、国民に対してウソの歴史を教えてきたある種の「洗脳」である。

「真実の」歴史を直視することが問題解決への道

竹島が日本固有の領土であることは国際法上も明らかであり、また、旧日本軍が組織的に女性たちを強制連行し、性奴隷にした事実もない。つまり、コ氏の言う「日本の悪しき歴史」とは、創られたものである。

韓国政府がこれ以上、ウソに塗り固められた歴史を隣国や自国民に押し付けることをやめなければ、国益を損なう。まずは、正しい歴史研究が韓国で行われ、それに基づいて歴史教育も行うべきだ。本当の歴史を国民が知ることで、韓国も自虐史観を抜け出せるし、日本との歴史問題の根本的な解決にもつながるだろう。(瑛)

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