日韓首脳会談が11月2日にソウルで開かれる。これを控え、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が10月29日、毎日新聞の書面インタビューに応じ、従軍慰安婦問題について「年内に問題が妥結し、(元慰安婦の)おばあさんの傷が癒やされるよう願う」と述べ、年内の解決を求めた。(10月30日付毎日新聞)

今回の会談は、両国の関係改善を求めるアメリカの強い意向を受けて開かれるもの。アメリカは日米韓の連携を深め、南シナ海や朝鮮半島できな臭い動きを見せる中国や北朝鮮を牽制するのが狙い。こうした状況の中、朴大統領は安全保障・経済問題と歴史問題分けて考える「2トラック戦略」をとっている。今回の首脳会談では、この安保問題が主な議題になると予想されている。

解決したいなら、なぜユネスコ記憶遺産への登録を目指すのか

朴大統領は会談について、「両国が正しい歴史認識を土台に歴史を克服し、未来に向かって出発する転換点を作るべきだ」とした上で、慰安婦問題では「日本政府が解決案を示すよう望む」と、韓国国民が受け入れられる案を示すよう求めた。(同紙)

しかし、朴大統領が本当に慰安婦問題を解決しようと考えているとは思えない。現在韓国は、「慰安婦」に関する資料をユネスコ記憶遺産に登録しようと、中国や台湾など6つの国・地域と連携している。具体的には、来年3月に申請し、2017年の登録を目指している。

アジア女性基金で48億円の税金が使われた

もちろん旧日本軍が、組織的に女性たちを強制連行した事実も、性奴隷にした事実もない。にもかかわらず、これまで日本政府は、この問題を曖昧にし続け、1993年の「河野談話」で事実上、強制連行を認め、必要のない謝罪や事実上の補償を行ってきた。

村山政権下の95年7月には、国家として新たな個人補償はできないという立場から、「財団法人・女性のためのアジア平和国民基金(通称・アジア女性基金)」を設立。民間の個人や団体の寄付以外に、政府の支出だけで約48億円にのぼる資金を使って、元慰安婦への物心両面のケアを行ってきた。政府支出が税金であることを考えれば、結局、日本は戦後賠償を行ってきたことになる。

やっていないことに対して、謝罪し、お金を払ってきた日本政府の行為は、国民への裏切りである。

元慰安婦への補償が必要なら、広島・長崎の遺族はアメリカに補償を求めていい

仮に、戦時中、慰安婦が何らかの被害に遭っていたとしても、1965年の日韓請求権協定で法的に「完全かつ最終的に解決」している。補償を求めるべき相手は日本政府でなく、韓国政府でなければならない。日本政府に補償を求める元慰安婦の訴えが許されるならば、東京大空襲や広島・長崎の原爆で亡くなった30万人超の民間人の遺族は、アメリカに補償を求めていいことになる。

さらに言えば、ベトナム戦争に参戦した韓国軍兵士が、多くのベトナム人女性に暴行を加え、多くの混血児が生まれたことについて、韓国側は謝罪や補償をすべきだ。

慰安婦問題でゆすりたかりを繰り返す朴大統領に対して、日本はこれ以上、妥協的な態度を取る必要はない。(瑛)

【関連書籍】

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