日本と韓国が、国交を正常化する日韓基本条約に調印してから、22日で50年を迎えた。安倍晋三首相、朴槿恵大統領は、東京とソウルで開かれた記念式典に参加した。

当初、両首脳は欠席の予定だったが、21日に行われた岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相との外相会談を経て出席を決めたようだ。

会談では、今まで韓国が頑なに否定していた、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録について両国が協力することで一致。日韓の関係改善を妨げている慰安婦問題についても深入りはせず、韓国が日本に歩み寄った形となった。

会談を報じた各紙は、「世界遺産に協力」「日韓首脳会談の早期開催を目指す」という点を強調しているが、実際は、自国の安全保障問題の先行きが見えない韓国から日本に対する、「関係を改善したい」というメッセージだろう。それは次のような会談内容からも垣間見える。

まず、日本で集団的自衛権の行使を具体化する安全保障関連法案が審議されていることについて、尹外相は「日本側から透明性を持って説明があったことを評価している」と評価した。

また、北朝鮮の核・ミサイル問題に関しては、日米韓で連携していくことを確認し合った。

背景には、日本との連携を図らなければ、安全保障上きわめて厳しい局面に立たされる韓国の弱い立場がある。

韓国は、同盟国であるアメリカの反対を押し切って、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加。しかし、国防についてはアメリカに頼らざるを得ない。

今年3月には、韓国国内に配備される予定である米軍の新ミサイル防衛システムについて、中国が「地域の平和と安定を損なう」と主張し、韓国にも懸念を表明した。これに対しては韓国も珍しく、「我が国の安全保障政策に影響を及ぼそうとすべきではない」と発言した。

韓国のこうした外交姿勢には、米中のどちらに軸足を置くべきかという迷いが感じられる。だが、北朝鮮の核の脅威は高まる一方なのに、中国は同盟国である北朝鮮の暴走を止めないばかりか、南シナ海の島を次々と埋め立て、野心をむき出しにしている。韓国は中国に自国の未来を委ねることは現実的な選択肢ではなく、中国に飲み込まれてしまう可能性が高いという現実を直視し始めたのだろう。

韓国が自国を守るためには、同盟国であるアメリカとの連携や、そのアメリカをバックアップする日本との関係改善が必要である。韓国もそのことに気づき始めてはいるようだ。

ゆえに日本は外交上解決している歴史問題で妥協する必要はない。むしろ、日本はアジアの平和と安定に対する責任を自覚し、中国や韓国をも民主主義国家に導く力を持つべきだろう。(佳)

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