アメリカの教育出版社・マグロウヒル社が発行する世界史の教科書において、「慰安婦の強制連行」など事実とは異なる記述がある問題について、3人の歴史学者が4日、都内で会見を開いた。

日本政府がマグロウヒル社に慰安婦の記述の訂正を要請したところ、米歴史学者20人が「日本政府の検閲は、学問の自由を脅かしている」とする声明を出した。この声明に対して、日本の著名な歴史学者9人が発起人となり、50人の歴史学者の賛同者を集めて反論したものだ。

会見の冒頭では、山下英次・大阪市立大学名誉教授がこれまでのアメリカの歴史教科書をめぐる問題の経緯を説明した。2014年11月に米国の公立高校の世界史の教科書に、慰安婦関連の事実と著しく異なる記述があることが産経新聞の報道で明らかになった。11月から12月にかけて、日本の外務省が発行元のマグロウヒル社に記述の訂正を要請。しかし同社は「記述は史実に基づく」としてこれを拒否した。その後、アメリカの日本研究学者と、日本人歴史学者のグループがこの件について声明を繰り返し発表している。

田中英道・東北大学名誉教授は、米歴史学者が、日本の歴史学者から指摘された教科書の内容自体を学問的に再検討せず、日本の政府に対し「学問の自由を脅かす」などと反論をする姿勢について「学者としての良心を犯すものである」と指摘した。

伊藤隆・東京大学名誉教授も同様に、歴史教科書の中に重大な誤りが多数あると指摘されているにもかかわらず、具体的に検証せずに、「歴史修正主義者」とレッテルを貼る学問的態度に疑問を呈した。次世代のアメリカ人が正しい歴史認識を学ぶことは国際社会全体にとって重要なので、アメリカの学者の教育者としての姿勢を問い直す必要があると述べた。

今後の活動としては、アメリカの歴史学者と国際会議の機会など、より多くの人に正しい歴史認識を国際的に発信する場を設ける方向だ。

本誌でも伝えてきたように、慰安婦となった女性を日本軍が強制連行したという事実はなく、韓国や中国の歴史の捏造に他ならない。

米国政府が7年の歳月と約30億円の予算を投じてまとめ、2007年に発表されたドイツや日本の戦争犯罪に関する調査報告書(IWG報告書)では、日本軍が慰安婦を強制連行したことを示す証拠を何一つ見つけることができなかったことを示している。

誤った歴史認識が高校の教科書に載ってしまった背景には、中国・韓国側は政府主導で熱心に国際ロビー活動を行っていたにも関わらず、正しい歴史を国際的に発信してこなかった日本政府の怠慢がある。

アメリカのメディアでは、中国や韓国の主張する歴史認識が主流になりつつある。歴史を捏造して政治利用しようとする中国・韓国、そしてアメリカの勢力に対し、日本側は事実に基づき、正しい歴史認識を英語で発信していかなければいけない。(真)

【関連記事】

2015年8月27日付本欄 国際社会で日本人は堂々と発言すべき 左翼の独壇場・国連における変化

http://the-liberty.com/article.php?item_id=10109

2015年8月6日付本欄 日本軍の慰安婦関与を批判するアメリカ学者らの声明に日本の学者が反論

http://the-liberty.com/article.php?item_id=10008

2015年2月号記事 世界初・独占インタビュー アメリカ人ジャーナリストが徹底検証 「慰安婦『強制連行』はつくり話だ」 - 戦後70年日本の誇りを取り戻そう

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8918