北アフリカの要衝を狙う巨龍──モロッコにおける中国の経済的侵略【チャイナリスクの死角】
2026.07.08
国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
地中海と大西洋を結ぶジブラルタル海峡の南岸に位置するモロッコ王国は、欧州とアフリカ、そして中東をつなぐ地政学上の超要衝である。この戦略的価値に目をつけ、文字通り「経済的侵略」とも呼べる猛烈な攻勢を仕掛けているのが中国である。
巨大スマートシティが「北アフリカの上海」へ
かつてのアフリカ進出で見られた資源獲得型の投資とは異なり、近年のモロッコにおける中国の動きは、インフラ、先端技術、そして製造業のサプライチェーンを根底から握り潰そうとする、より洗練された、かつ冷徹な国家戦略に基づいている。王室との友好関係を政治的な盾に使いながら、着実に地歩を固める手口は狡猾そのものである。
中国による対モロッコ戦略の象徴が、北部タンジェで建設が進む巨大スマートシティ「ムハンマド6世タンジェ・テック・シティ」プロジェクトである。総面積2000ヘクタールを超えるこのハイテク産業特区には、中国交通建設(CCCC)などの国策企業が深く関与し、将来的に200社以上の中国企業がひしめく「北アフリカの上海」へと変貌を遂げつつある。
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