人材育成のプロに聞く──「ハラスメント上司」と言われない、部下の正しい愛し方
2022.03.14
ここ数年、労働問題の相談は、「いじめ・嫌がらせ」がトップ。上司との関係に悩む社員が増えている一方で、ちょっと注意をしただけで「パワハラだ」と騒ぐ社員も増えている。上司はこうした職場トラブルをどう解決していくべきだろうか。一部上場の企業を立ち上げ、約500人の部下を率い、約3000人の面接をしてきた人材育成のプロに、「上司の基本」について聞いた(2017年4月号記事より再掲。内容や肩書きなどは当時のもの)。
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上司にいちばん必要なのはテクニックよりも「愛」
代表取締役社長
横山 信治
(よこやま・のぶはる) 日本信販株式会社(現三菱UFJニコス)入社後、営業成績全国最下位から、NO.1営業マンに。SBIモーゲージ株式会社の起業に参画。上場会社へと成長させた。主な著書に『職場の理不尽に怒らず、おだやかに働く技術』(秀和システム)など。
これまで多くの部下を見てきた中で、部下が最も重要視していることは「上司が自分に興味を持ってくれているかどうかだ」ということに気づきました。
部下は、自分の成長を心から願ってくれる上司には、多少厳しいことを言われても「パワハラ」とは感じません。
もちろん、叱る時は部下の行動だけを叱り、人格を傷つけないなどの配慮も大事です。また、褒める時には、例えば「この企画書いいね」と言うだけではなく、「最近、〇〇さんの企画書は具体的になって良くなったね」など、「変化を褒める」ことが大事です。そもそも部下に興味がないと、ちょっとした変化に気づくことはできません。
こうした「叱る」「褒める」などのテクニックもありますが、根本的には、部下に対する「愛」が大事になってきます。
「求める」よりも「与える」
では、上司はどのように部下への愛を表現すべきでしょうか。
例えば、遅刻してきた部下を頭ごなしに叱るのではなく、まず「どうした?」と部下の事情を聞いてみる。「自分の事情を理解してもらえた」と思うと、部下はより素直に上司の言葉を受け入れられるものです。
また、会議などにおける部下の発言が的を射ていなくても、即座に否定するのではなく、「そうだよね」と受け止めたうえで、こちらの考えを伝えます。
部下に何かを求めるよりも、まず、上司として与えられることについて考えることが大事です。与えるものとは、お金など目に見えるものだけではありません。部下は、上司が耳を傾けてくれることや、認めてくれることなど、目に見えないことに喜ぶのです。
瞑想で平静心を取り戻す
それでも部下の言動にイライラしてしまう時は、呼吸法と瞑想の実践をお勧めします。
深呼吸を10回ほどして瞑想に入ると、もう一人の冷静な自分の目で、心を見つめることができます。心と対話し、平静心を取り戻すことが大事です。
自分も他人も不完全な人間ですので、間違いも失敗もします。それでも、十分に愛すべき素晴らしい存在だと尊敬し合うことが、人間関係のトラブルを根本的に解決する上で必要なのではないでしょうか。(談)
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2017年4月号 「ハラスメント上司」と言われないために──部下の正しい愛し方
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