釈量子の志士奮迅 [第60回] - 「加計学園」問題の本質は憲法問題
2017.07.29
2017年9月号記事
第60回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
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「加計学園」問題の本質は憲法問題
教育について語る資格があるのか―。
加計学園をめぐる議論に憤りを感じたのは、これまで私が若者を育てる仕事に携わったことがあるからかもしれません。人間を教え導く仕事は実に厳粛で、子供の心に影響を与え、一生を左右する可能性もあります。
だからこそ、「魂の尊厳」を知らなければできない、聖なる仕事だと思うのです。
「政教分離」で骨抜きの教育
閉会中審査に出席する前川氏。写真:Natsuki Sakai/アフロ
この国の教育行政の事務方トップとなった前川喜平・前文科事務次官は、「加計学園」獣医学部の新設認可について、官邸から認可の要請圧力が加えられたことをもって「行政が歪められた」と批判しました。
しかし自分が「出会い系バー」に通っていたことを「女性の貧困の視察調査」と言い逃れるなど"歪み"が露呈。その後、「『調査』という言葉は適切でなかったかもしれない」と"個人的趣味"であったことを白状しましたが、恬として恥じない姿は、教育界を率いてきた者であっても、人間としての善悪が分からないことを意味します。
その根本原因は、ずばり70年前に施行された憲法にあります。GHQが日本の精神的主柱を骨抜きにするために挿入した現憲法の20条3項の「政教分離」規定により、教育の現場から宗教が追い出され、その結果、「道徳」の核にある真理を教えることができなくなりました。「神仏に見られている」と信じなければ、「ばれなければいい」と考える人が増えるのは当然のこと。善悪観念を失った教育の闇が、ここに露呈したと言えます。
「学問の自由」は無きが如し
この騒動を機に、教育界の岩盤規制の実態も白日の下にさらされました。憲法23条で「学問の自由」が保障されていることを忘れたのか、文部科学省は細かい基準や条件を積み上げて、新しい大学・学部の参入の多くを門前払いしていました。
「新しい大学や学問が要るかどうかをお上が判断する」形式は、あたかも自分たちの正当性を裏付ける「朱子学」だけを事実上認めていた江戸幕府のようではありませんか。公然と民間の事業を規制し、自分たちにプラスになる人々には特区を使って便宜を図ることは、国民を欺く行為です。
公序良俗に反した教育でない限り、大学は自由に設置できるべきです。既存の大学・学者の既得権益や悪徳官僚の天下りの慣習がそれを阻んでいるのだとしたら、かつて接待汚職で看板を掛け変えられた大蔵省と同じです。
文科省解体で「自由の創設」を
一方の安倍晋三首相は、これまでの文科省の岩盤規制に立ち向かおうとしているかのように報じられていますが、文科省と似たり寄ったりの社会主義思想に取り憑かれているように思えてなりません。
例えば、安倍政権は大学行政に関して、国家戦略特区を設けて規制緩和しようとする一方で、「人口の大都市一極集中」を是正するために、東京23区内の大学・学部の新設や、定員増を認めない方針を出そうとしています。
かつて、都心部に企業や大学が集中しないように「工場等制限法」が定められていましたが、各界の根強い要望を受け、2003年に廃止されたことを忘れてしまったのでしょうか。
"お友達"の要望を受けて動くときには岩盤規制を批判しつつ、別のところでは新しい岩盤規制を作ろうとする自己矛盾の奥に、地方へのバラマキとして、教育を利用しようという社会主義的発想が透けて見えます。06年に教育基本法の改正を行った安倍首相ではありますが、これからの日本の教育についての理念・信条が欠けており、政権の維持やバラマキの一環として、教育を扱っているように見えます。
目指すべき方向は、「文科省の解体」と「教育の自由化」です。文部省と科学技術省に分離し、新しい文部省においては、教育の自由化を始めてはどうでしょうか。
獣医学部の新設に関して、「獣医師が足りているかどうか」という議論を延々と行っていましたが、国家がいたずらに需給見通しを立て、統制すること自体が問題です。それよりも、自由に新しい大学・学部を作れる教育行政に改革していきましょう。
「加計学園」問題の本質は、人間学や善悪を教える宗教を遠ざけた現行憲法でいいのか、文科省は学問の自由を侵していないかという「憲法問題」だと思います。教育本来の聖なる使命を果たすためにも、憲法改正は避けて通ることはできません。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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