中国の習近平国家主席は20日、パキスタンに初めて公式訪問し、同国のシャリフ首相と会談した。輸送インフラの整備や発電所建設、港湾開発などに、450億ドル(約5兆4千億円)を投融資することで合意した。

中国「シルクロード(一帯一路)構想」の一環

中国は、アジアから欧州まで、鉄道や道路、送電網、港湾など、陸と海のインフラを2ルートで整備し、巨大な経済圏をつくるという「シルクロード(一帯一路)構想」を掲げている。

今回の投資で進められた、新疆ウイグル自治区(カシュガル)から、グワダル港(パキスタン南部)を陸路で結ぶ「中パ経済回廊」の構築もその一環だ。

パキスタンには、以前から数多くの中国企業が進出し、カシュガルからグワダル港までを横断する鉄道や高速道路、石油・天然ガスパイプラインの建設などを進めてきた。先日行われたイラン核開発の枠組み合意で、イランへの経済制裁が解除されるため、グワダル港に隣接するイランから天然資源を輸入し、陸路で輸送する狙いもある。

警戒するインド

シルクロード構想において、中国は沿海の福建省を起点に、バングラデシュのチッタゴン、スリランカのハンバントタ、グワダルの各湾港を整備し、シーレーン確保を目指す。

シーレーンはインドを包み込むようなルートになるため、「真珠の首飾り」と呼ばれる。グワダル港が完成すれば、中国海軍が軍港として利用することも懸念されている。

パキスタンと対立するインドのモディ政権は、経済面では中国と友好関係を保つ一方、こうした中パ両国の動きを警戒している。 モディ首相は、昨年5月に就任以来、「真珠の首飾り」戦略に対抗するため、周辺国との関係強化に取り組んできた。昨年よりブータン、ネパール、ミャンマーなどを訪問し、先月末には、インド洋のセーシェル、モーリシャス、スリランカを歴訪している。

インド・パキスタン、核戦争の恐れも!?

中国は、パキスタンをインドに対する盾とし、インドとパキスタンの代理戦争を起こすことで、中国本土を防衛する狙いがある。パキスタンは、中国の技術支援を得て、核弾頭を100~120発保有している。その延長線上に、インド・パキスタン間で核戦争が起こす可能性も見えてくる。

中国の「シルクロード構想」の構築は、世界中に紛争の火種を生む。各国が経済的・軍事的な協力を強め、中国包囲網を形成することが急がれる。(泉)

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