女性閣僚5人を擁して発足した安倍改造内閣は、発足から1カ月半で女性閣僚2人が同時辞任となった。21日付各紙が報じた。

小渕優子経済産業相は、「観劇会」にまつわる収入と支出の不一致をはじめ、「政治とカネ」の問題で糾弾され、松島みどり法相は、選挙区内の催しで自身のイラストの入った「うちわ」を配布したとして公職選挙法違反を指摘された。本質議論ではない部分だけを取り上げて、まっとうな政策議論を挑めない野党のあり方にも大いに問題はあるが、今回辞任した両者も「脇が甘かった」のは事実である。

今回のダブル辞任は、安倍内閣にとっても痛手だったろう。だが、そもそも安倍晋三首相の掲げる「ウーマノミクス」の考え方に問題があったのではないか。

「ウーマノミクス」とは、女性の就労拡大により日本経済を発展させるという考え方で、アベノミクスの成長戦略の一環として位置づけられている。「女性が輝く日本」をスローガンに掲げ、2020年までに女性が指導的地位に占める割合を30%にするという数値目標を掲げている。歴代最多タイの5人の女性閣僚を誕生させたことは、その「率先垂範」ということだろう。

数値目標を掲げると、「数合わせ」をしたくなる。今回の女性閣僚5人の選定に当たっては、閣僚入りするだけの資質や能力、実績という面で選ばれたのか、それとも過去最多の女性閣僚数にこだわったのか、やや疑問が残る。

今回の出来事は、「女性が活躍する社会」を、管理職数の数値目標だけで決めることの間違いを示しているのかもしれない。

大川隆法・幸福の科学総裁は、近著『女性らしさの成功社会学』において、一般に言う「女性の成功法」とは、女性が男性化していく流れを指し、「(女性が)男性に取って代われる」ことを意味していると懸念を示した。

能力の高い女性が活躍する場がない社会は望ましくないものの、「『男女』という二種類の性が神より与えられて存在する以上、そういう性差をまったくないこととして、男女が単性化していき、すべてが同じ方に向かっていく社会もまた、幸福な社会ではない」と指摘している。

男性と女性は生物的な特徴だけでなく、魂そのものも異なっており、得意とする分野や、神から期待される役割も違う。

それを考えたとき、管理職の数だけで「女性の活躍」を図るのはいかがなものだろうか。

日本武尊が東征した際、荒れた海を鎮めるために弟橘媛が身を投げた話は、現在の「男女平等」の考え方からすれば受け入れがたいかもしれないが、夫が大きな仕事をする際にそれを陰で支えることも、女性にとっての大きな活躍であるといえる。こうした女性の無私なる奉仕の徳に対して、日本人は敬意を払ってきた。

また、数値目標を定めることは、努力と成果をあげて管理職となった女性に対しても失礼だ。

偏った女性観に基づいて、数値目標だけ決めるのは大きな弊害を生む。今回の出来事を「女性の輝きとは何か」「女性の幸福とは何か」という「女性観」を考える機会とすべきだ。(佳/居)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『女性らしさの成功社会学』 大川隆法著

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