7月10日付各紙朝刊から注目記事を拾い読みして一言コメント。

北極海の天然ガスが2018年、日本に

商船三井がロシアの液化天然ガスを北極海経由で2018年から日本や欧州に運ぶと発表。各紙が報じている。北極海を通れば日本から欧州への航路も10日ほど短縮される。需要を同じくする中韓と協力し、北極海航路のノウハウを溜める。

⇒南シナ海に集中するシーレーンのリスクを分散させる上で、北極海航路は重要になってくる。しかし、商船三井と言えば、戦時賠償の支払いがなされていないとして、中国に船を差し押さえられた事件が記憶に新しい。北極海の資源には中国がかねてより触手を伸ばしており、歴史問題で日本と対立している中韓との協力とは、少々心もとないものを感じる。

米中の「新しい関係」は片思い

9日に北京で始まった米中の閣僚級による戦略・経済対話について、各紙が報じている。習近平・中国国家主席は「広大な太平洋には中米両大国を受け入れる十分な空間がある」と再び発言。「新しいタイプの大国関係」を繰り返した。一方のオバマ米大統領はアメリカからの声明で、「新しいタイプ」の関係に大国という表現は使わず、中国との距離を示した。

⇒南シナ海の中国の領有権を認めよと言いたげに、あからさまな主張を繰り返す習近平氏。中国はアジアでの米軍の排除を狙っており、反日で結託しているはずの韓国の世論調査でも、国民の6割が中国を「脅威」に感じているという。日本としては、アメリカ一国頼みではなく、近隣国やロシアなどと連携を深めたいところだ。

中3不登校の85%が高校へ進学

文部科学省の追跡調査で、2006年に不登校だった中学3年生のうち、卒業直後に高校に進学した割合は85%、うち中退は14%だったと複数紙が報じた。再調査時点で大学に進学していたのは19%に上った。1993年度の同調査に比べて、大幅に改善した。

⇒改善の理由は、不登校児の受け入れ施設を拡充した成果だと言う。不登校になったきっかけの約半分は人間関係というが、いじめの防止など、不登校を未然に防ぐ取り組みこそ重要だ。

川内原発 ほど遠い「合格」(東京)

九州電力の川内原発について、今秋の再稼働が見込まれている。しかし、重大事故と自然災害が重なる「複合災害」への対策ができていない、住民説明が足りない、原発なしでもやっていけているではないか、九州電力は賠償金の備えが足りないなどと、再稼働に大反対の特集。

⇒福島第一原発は、そもそも数千年に一度の災害によるものだった。それが明日にでも再び起きるかのような表現で恐怖を煽っており、安全審査についての正常な判断力を奪いかねない。「原発なしでも大丈夫」と言うが、もし今夏が酷暑になり、熱中症で死者が出たらどうするつもりなのか。

スマホ戻ってきた(産経)

アメリカで紛失したスマートフォンが、日本から帰ってきた。米南部オクラホマ州で昨年10月、農家の男性が穀物をトラックから倉庫に移す間に、穀物の中にスマホを落として失くしていた。スマホは穀物ごと日本に輸入され、北海道の製粉所で発見された。発見者はスマホをアメリカの全国農業協同組合連合会(JA全農)に送り、JAがスマホを充電したところ、持ち主が判明した。

⇒持ち主の男性は、「捨てずに送り返してくれるなんて信じられない」と大喜びした。ワールドカップでも観戦後、日本チームが負けたにもかかわらずスタジアムのゴミ拾いをして帰る日本人の姿が報じられた。日本人のマナーの高さは、海外ではニュースになるほど珍しいらしい。(居)

【関連記事】

2014年8月号記事 日本はアジアの警察官たれ 東南アジアは「盟主」を求めている

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8033

2014年5月号記事 米軍のアジア撤退シミュレーション - 201x年 米軍、アジア撤退 「戦わないアメリカ」をもう止められない

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7562