《ニュース》

ウクライナ東部で激戦が繰り広げられ、ロシア軍に制圧されたバフムート。多くのマスコミが陥落した事実を積極的に報じない中、同地を守っていたウクライナ軍は多大な損害を出し、地獄のような戦いだったと、米紙ウォールストリート・ジャーナルが25日付電子版で報じています。

《詳細》

2月にバフムート防衛に駆り出された第93機械化歩兵旅団第5大隊に所属するある二等兵は、同地に送り出される数日前に入隊したばかりで、まともな訓練を受けなかったと語っています。何の訓練も受けていない16人が守備した建物に対し、ロシア兵が対戦車ロケットランチャーを撃ち込んだため、二等兵は脳震盪を起こし、近くの畑に隠れて難を逃れます。36時間にわたるこの激しい戦闘により、戦った16人のうち11人が死亡または捕虜になるという多大な損害が出ました。

これはバフムートで日常的に観察された一コマを切り取ったものに過ぎません。なぜこのような「素人同然」の兵士が送られたのかと言えば、西側諸国が訓練した新しい旅団を反攻作戦のために温存するため、あるいは、多くのベテラン兵がすでに戦死したためであると、ウォールストリート・ジャーナルは指摘します。なかには、動員兵が訓練不足を理由に上官の命令に従わないと公式文書に書くと脅された人もいるようです。

ウォールストリート・ジャーナルによると、当然、訓練が未熟な状態で戦地に送られ、"行方不明"扱いになった兵士の家族は怒っています。しかし、ウクライナの法律には訓練期間が明記されておらず、新兵ができることは、彼らの指揮官もしくは国防省のホットラインに苦情を申し立てることくらいしかない模様です。

西側諸国のメディアは、ウクライナ軍の士気はかなり高く、勇敢に戦っているという"英雄的なストーリー"を一貫して伝えています。しかし、兵士からは相当な不満が出ており、戦闘拒否者も多数存在しているのが実情です。

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