《ニュース》

公正取引委員会(公取委)は21日、ヤフーなどのIT大手と報道機関との取引実態の調査報告書を公表しました。

特に、ニュースポータルサイト「ヤフーニュース」を運営するヤフーについて、「(報道機関に対して)優越的地位にある可能性」があると指摘し、記事の利用料が著しく安く設定されている場合は「独占禁止法上問題となる」と述べています。

《詳細》

公取委は本調査の趣旨について、「ニュースコンテンツが国民に適切に提供されることは、民主主義の発展において必要不可欠」「(取引状況によっては)消費者が質の高いニュースコンテンツを享受することが困難になる恐れがある」と説明しました。

全164ページに及ぶ報告書は、ニュースポータルサイトが報道機関に支払う記事の利用料の水準を明らかにしています。ニュースポータルサイトとは、報道機関の記事を集めて無料配信しているサイトのことで、閲覧者を増やすことで広告収入を得ています。

2021年にヤフーニュースやLINEニュース、スマートニュースなどを運営するIT企業6社が支払った記事の利用料は、1000ページビューあたり平均124円(記事1本につき1000回閲覧されれば平均124円)で、6社のうち最も高い社は251円、最も安い社は49円でした。報告書によると、報道機関側には利用料の水準への不満が強く、63%が現在の対価に不満(問題)があると答えています。

公取委はヤフーについて、ニュースメディア事業者(報道機関)の約6割にとって最大の取引先となっており、消費者の約2割が最も利用頻度が高いとしていることなどを指摘。「取引先であるニュースメディア事業者との関係で優越的地位にある可能性がある」と述べました。そして、一方的に安い利用料を設定する場合などは、優越的地位の濫用として、独禁法に違反する恐れがあるとしました。

公取委は、具体的な利用料まで示した報告書を公表することで、報道機関がIT大手に対して適正な対価を求める交渉ができるよう、後押ししようとしています。

《どう見るか》