台湾の馬英九政権が中国と締結した「サービス貿易協定」の発効を強行しようとしたことに対し、反対する学生が立法院を占拠したことを皮切りに、台湾全土で「3.18」国民運動が起こった。4月10日に学生が立法院から退去したことで運動は一旦収束したが、一連の騒動で多くの台湾の人々が、改めて台湾の未来について考えたと言える。

筆者は3月30日に総統府前で行われた大規模な抗議集会を取材した。事態が収束した今、改めて現地の様子を改めて振り返ってみたい。

30日の抗議集会には、主催者発表で50万人もの人々が参加。総統府前に抗議集会用の特設ステージが用意され、今回の運動のリーダーである大学院生の林飛帆氏が「民主主義を守ろう」と呼びかけた。

抗議集会に参加して一番驚いたことは、抗議活動があくまでも「民主的に政府に抗議する」姿勢を貫いていたことだ。別のリーダーの陳為延氏が「これは独裁主義と我々の民主主義との戦いだ」と繰り返していたように、台湾の人々は、この問題を民主主義的に解決しようとする姿勢が印象的だった。