「これは党ぐるみの『詐欺行為』だ」「日本壊した民主の出鱈目」と、AERA12月3日号(11月26日発売)が大見出しで報じている。だが、その「詐欺政党」を3年前の衆院選で持ち上げ続け、世論を「政権交代」に誘導したのは、ほかならぬAERAなど朝日グループではなかったのか。

今回のAERAの記事は、民主党をばっさり斬っている。たとえば前文はこんな感じだ。

「求心力を失った政党の姿は、かくも無残だった。政党政治そのものをぶち壊した感のある民主党。泥舟からは漕ぎ手たちが続々と脱出しているが、その泥舟に乗せられていたのは国民だ」

本文でも、鳩山由紀夫・元首相を批判して、こんなことを書いている。

「3年前、党首としてマニフェストなる、今思えば噴飯ものの『政権公約』を掲げて国民に政権交代の追い風を吹かせ、民主党政権の初代首相となった人物である」「ここまで来ると、『詐欺政党』と批判されても仕方がないだろう」

いかにも自分たちが正義で、国民の味方だと言わんばかりだが、その「詐欺政党」や「詐欺首相」を押し立て、「政権交代の追い風」を吹かせたのは誰だったのか。

2009年衆院選(8月30日投開票)をAERAの記事はどう報じたか、見てみよう。

  • 7月27日発売号=「民主単独で過半数」と予測。「民意は自公から民主へ、政権交代に動き出した」と、「政権交代」を明確に打ち出した。
  • 8月10日発売号=「自民党『倒壊前夜』」と、自民党・麻生政権の倒壊が確実という前提で報じた。マニフェストも民主と比較して、「自民党のマニフェストはもっとひどかった」と酷評。一方で「(民主党のマニフェストは)『日本を変えたい』という意思が伝わってきた」「威勢良く無駄遣い根絶を訴える民主党の方が、自民党に少し勝っているように見える」と、民主党マニフェストを評価した。
  • 投票直前の8月24日発売号は、「政権選択の夏」と銘打って大特集。中でも「民主『子育て政策』もっとバラまけ――子育て世代が政権を決める」と題して、民主党への有権者の期待を載せている。たとえば都内に住む専業主婦は「これまで、何となく自民党を支持してきた」が、民主党が提唱する「子ども手当」は、1人月々2万6000円、電卓を叩くと、中学卒業までに約328万円。「これほどの金額が入るというだけで家計には朗報だ」。また他の女性は「子ども手当に大賛成だ」。自民の児童手当は、「子どもの成長に合わせて切れ目のない『バラまき』をする民主には及ばない。(略)民主が断然おトクだ」と、ほぼ全面的に民主党に軍配を上げている。

これだけ見ても、AERAが3年前には、今や民主党のウソの代名詞にもなった「子ども手当」などの公約を礼賛し、「政権交代の追い風」を吹かせ、世論を民主党に誘導し、「国民を泥舟に乗せた」のは明らかだ。

自分たちが世論を動かして民主党とともに日本を沈没させた「共犯」だという罪の意識もなしに、政治家だけのせいにして逃げるのは、マスコミの代表を任じる朝日グループにあるまじき行為だ。大マスコミは自らの報道に責任を持ち、「言いっ放し」では済まないことを認識すべきだろう。(仁)

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