グレートバリアリーフにおけるサンゴ被度の推移(出典:Peter Ridd「Coral in a Warming World: Causes for Optimism」)。
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国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)が23日、気候変動による海水温の上昇で、「世界のサンゴ礁の84%に白化現象が起きている」と発表しました。
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「白化現象」とは、サンゴが海水温の上昇といった環境の変化に適応するために、共生している藻類(褐虫藻)を排出することによって生じるものです。ICRIは「長期的に白化が続くとサンゴは死滅してしまう」と主張しています。
ICRIは2023年1月から25年3月末にかけて、82の国と地域のサンゴ礁で白化現象が起き、その規模は世界のサンゴ礁の84%に上るとして、「過去最悪の状態」だと警告。白化現象の主な要因として海水温の上昇を挙げ、それが化石燃料への依存などによる人為的な気候変動によるものだと結論づけています。
このように、温暖化の"危機"を訴える手段の一つとして、サンゴ礁の"被害"が取り上げられがちですが、「人為的な気候変動→サンゴの白化→死滅」と安易に結びつけるべきではありません。
例えば、世界最大のサンゴ礁地帯であるオーストラリアの「グレートバリアリーフ」は、2016~22年の間に4度の白化現象が発生し、「壊滅的」と何度も危惧されてきました。しかし、サンゴ礁の豊かさを示す「サンゴ被度」は現在、過去最高の状態にあることが明らかにされています。
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