2024年9月号記事
ニッポンの新常識
軍事学入門 50
西側はロシアの消耗戦をナメた(前編)
世界の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」をお届けする。
長期化するロシア―ウクライナ戦争をめぐり、「ウクライナ善戦論」はいつの間にか消え、劣勢論が流布している。
今やウクライナは武器・弾薬不足だけでなく、動員も困難であるため、人手不足に直面している(現在は100万人超を動員)。著名なイスラエルの戦略家エドワード・ルトワック氏ですら、「ウクライナが勝つには、動員規模を300万人にすべきだ」と現実不可能な提言を行っている以上、勝ち目はないと考えざるを得ない(*1)。西側諸国はロシアの戦い方を徹底的にこき下ろしてきた。それだけに、現状とのギャップについて弁明する義務があるだろう。