《ニュース》

ドイツ経済省が、電気自動車(EV)の購入にあたって支給する補助金制度を17日で終了すると発表しました。この制度は2024年末まで続く予定でしたが、予算が続かなくなったため、1年前倒しで終了することとなりました。

《詳細》

ドイツでは2021年、オーラフ・ショルツ氏が首相に就任する直前に、「2030年に1500万台のEV導入」という目標を掲げました。

同国では16年からEVを購入する際、政府から3000ユーロの補助金支給が始まっています。20年にはコロナの感染拡大による経済対策の一環として政府の補助額が倍の6000ユーロとなり、自動車会社の負担額3000ユーロと併せ、9000ユーロ(約115万円)の支援が行われるようになりました。これを機に、19年まで3%だったEVの普及率が20年には13%、22年には31%と急激に上昇。これまで210万台に補助金が支払われています。

しかしその後、補助額の縮小が進み、23年9月には商用車への補助金支給が終了。また、11月にはドイツ憲法裁判所が、「新型コロナウィルス対策で未使用の600億ユーロ」を、気候変動対策に転用するのは無効との判決を下しました。これを受けて政府は予算案における気候変動対策を一部棚上げ。EV購入補助金制度が早期終了したということです。

これまでにも「ドイツで購入されたEVが他国に転売されている」ことで「納税者由来の補助金が他国に流れている」という問題が浮上していました。ドイツ政府は23年1月以降、購入したEVを中古で売る時に「新車購入から6カ月以上」としていた最低保有期間を「1年以上」に引き上げ、期間内に売る場合は補助金の返還を求めるとしていました。

ドイツ経済紙のハンデルスブラットは、補助金制度を廃止すると、2030年までに1500万台のEVを普及させるという計画は達成できない恐れがあると警告。今回の補助金廃止を受け、「目標達成は既にきわめて非現実と思われていたが、今や完全に幻になった」と指摘しています。

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