© Carole-Bethuel (C) 2023 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA
© Stephanie Branchu (C) 2023 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA

 

2024年1月号記事

Pick Up Movie

編集部がオススメする「今こそ観たい」映像作品。

「ポトフ 美食家と料理人」

2023年12月15日(金)公開

 

心に光と輝きをもたらす食の芸術

【スタッフ】
監督:トラン・アン・ユン 脚本・脚色:トラン・アン・ユン
【キャスト】
出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル
【その他】
料理監修 :ピエール・ガニェール
原題:La Passion de Dodin Bouffant
【配給等】
配給:ギャガ
【公開日】
2023年12月15日(金) Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

 

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© Carole-Bethuel (C) 2023 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA
© Stephanie Branchu (C) 2023 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA

 

【レビュー】

19世紀末のフランス。「食」を芸術にまで高めた美食家のドダンは、静謐な森の中に佇む美しいシャトーで暮らしていた。二十年を共に働いてきた料理人ウージェニーは、彼が創造するレシピを完璧に仕上げ、時には彼の想像を超える一皿を作り出す。二人が生み出す数々の料理に人々は感動し、その熱狂は欧州各国に広がっていた。

二人は深い信頼と尊敬で結ばれ、互いを高め合いながら、愛する心もあった。だが、プロフェッショナルとしての自立を尊ぶ彼女は、ドダンの求婚を断り続けた。

ある日、美食仲間と共に皇太子の晩餐会に招待されたドダン。だが、彼の理想には程遠く、"豊かな晩餐だが、光や輝きがなく、論理も方針もない、息が詰まる"ものだった。

彼は「食」の真髄を示すため、最もシンプルな家庭料理「ポトフ」で皇太子を招待すると決意。その挑戦の矢先、ウージェニーが倒れ、新たな人生の局面が動き出すが……。

実在の人物をモデルにした、非常に美しい映像作品である。1台のカメラで本物の調理過程を流れるようなワンショットで撮し、厨房内の連携を見事に捉え、メインの照明である太陽光とキャンドルが、当時の豊かでナチュラルな生活をあたたかく照らし出している。

BGMが一切なく、鳥のさえずりや虫の鳴き声が終始かすかに聞こえる中、調理中の音が効果音となり、いつの間にか感覚を澄まして味覚や触覚、香りさえも想像させてくれる。

唯一、『タイスの瞑想曲』がフィナーレで流れる。"ラストのセリフ"に曲の意味を重ねてみると、芸術に捧げた二人の心の内への想像が、さらに膨らんでいくかもしれない。

 

ザ・リバティWeb シネマレビュー

「ポトフ 美食家と料理人」

(星4つ。満点は5つ)