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北海道小樽市などで計画されていた大規模な陸上風力発電事業について、事業者が17日、中止を発表しました。

《詳細》

大手総合商社の双日は、小樽市と余市町にまたがる国有林で、最大約170メートルの風車を26基建設する計画を進めていました。同計画は、東京ドーム約10個分の面積の森林を、風車建設や管理道路のために改変するという、大規模なものでした。

これが環境破壊や土砂災害、景観悪化につながるとして、地元住民らが反発。計画の中止・撤回を求める署名7千筆が小樽市に提出されるなどしました。小樽市の迫俊哉市長も、「風車建設で固定資産税が入り、経済合理性はある」としつつも、市民生活を守ることが優先と判断し13日、市としての計画反対を表明しました。これを受けて北海道の鈴木直道知事も16日の定例会見で、「地域の理解が得られていない」との認識を示しました。

一夜明けた17日、双日は計画の中止を発表。地元の反対が大きかったことだけではなく、資材高騰によって建設費が当初の3~4割も増え、投資基準に合わなくなったことを、「直接理由」として説明しています。

この計画について同社は、環境影響評価(アセスメント)手続きの第3段階に当たる「準備書」を提出していました。この段階での事業中止は極めて異例とされています。

政府は風力発電を、日本の電源構成の大きな柱とする方針を掲げています。中でも北海道と東北地方は、日本列島の中でも比較的風況が恵まれているため計画が集中しており、風力大量導入の本命地域と言えます。

しかし東北では昨年から、風力計画に関する地元自治体による撤退要請や、事業者による中止判断が相次いでいました。そこに今回、北海道における大型計画の中止が発表されたことは、全国の風力導入ペースに大きな影を落とすことになりそうです。

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