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中国の全国人民代表大会は26日、スパイ行為を摘発する「反スパイ法」の改正案を可決・成立させました。同法の改正は2014年の施行以来、初めて。7月1日に施行されます。

《詳細》

もともと反スパイ法は、スパイ行為の定義について「国家機密」の提供と定めていました。それが今回の法改正で、「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料、物品」の提供や窃盗、国家機関や重要情報インフラへのサイバー攻撃なども、新たに取り締まり対象になりました。「国家の安全と利益」や「文書やデータ」などが具体的に何を指すのかは、明示されていません。

また、法改正によって国家安全当局の権限が強まり、スパイ行為の疑いのある人の手荷物や電子機器を強制的に調べられるようになりました。

同法が施行されて以来、スパイ行為に関わったとして、少なくとも17人の日本人が当局に拘束されています。3月には、製薬大手アステラス製薬の現地法人に勤める50代の日本人男性が反スパイ法違反容疑で逮捕され、今なお解放されていません。この男性は業務の一環で、中国政府や業界関係者と交流があったとされています。

28日付日本経済新聞は、今後中国で行うとスパイとみなされるリスクがある行動として、「レアアースなど資源に関わる場所の写真撮影」「地図の作成」「無許可のアンケートやインタビュー」「会合への出席」「政治家の人事や外交、政治体制などに関する雑談やSNSの書き込み」などを挙げています。

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